フランク・ロイドのブログ

フランク・ロイドの徒然

奴隷商人 第6、7章

第6章 ●奴隷商人4、ムラーの家、紀元前47年

 どうもまだこの体に馴染めない。ムラ―の意識、記憶も掘り起こさないとダメだ。俺は額に左の人差し指と中指をおしつけて、ムラーの知識を探る。



 ムラーの家は2つあるようだ。この海岸沿いの家と丘の中腹にある家だ。それぞれハーレムの奴隷頭が仕切っているようだ。海岸沿いの家のハーレムには、女奴隷が7名。丘の家には13名いるようだ。合計20名か。よく、このムラーは体が持つな、と思ったら、玉なし竿ありの宦官に代わりをやらせているようだった。


 なんだ、執事のアブドゥラは宦官だったんだな。なるほど。ヤツは18歳か。もう一人宦官がいて名前がナルセスというのか。こいつは21歳。どちらも俺の同衾の相手らしい。ムラーはバイセックスなんだ。この時代なら普通のことか?ただ、20世紀のLGBTと違って、日本の戦国時代の稚児のような関係のようだ。家庭の戦闘集団の男性としての絆を深めるための意味もある。なるほどな。性行為も儀式ではあるんだな。


第7章 ●奴隷商人5、侵入者、紀元前47年

 俺は物音で目が冷めた。俺の寝室はニ階にあるんだが、一階から何やら足音をひそめた人間が動き回っているような気配が感じられた。



 盗賊かな?それとも暗殺者か?俺は横で寝ていた絵美の口を塞いで声を出させないようにしてそっと揺り動かして起こした。パチっと目を開く。指で階下を指した。絵美も物音に気づいたようだ。絵美をベッドに抑えて、シッと言った。手真似でここにいろと伝える。ウンと頷いた。


 俺は部屋を出て、隣室で寝ているアブドゥラを起こしに行った。ドア代わりのタペストリーをそっとはぐと、アブドゥラはジュリアとやっていた。月明かりの中、ギリシャ奴隷の黒髪がアブドゥラにのしかかって腰を振っている。アブドゥラが腰を突き上げてジュリアを攻めている。


 アブドゥラは今年で十八才になる。十年前、黒海沿岸から海賊に拉致されてきたコーカサス系の奴隷だ。絶世の美少年のアブドゥラもかなり値がはって、人さらいの海賊共、俺に三十アウレウス(金貨)を要求しやがった。美少年であるだけでなく、性格が素直そうであったからだ。