フランク・ロイドのブログ

フランク・ロイドの徒然

恭子と明彦、エピソード Ⅲ、Ⅳ

恭子と明彦、エピソード Ⅲ

 電話の呼び出し音って、たまにドキドキしないか?ぼくはした。


「もしもし、浅井ですがぁ~」と恭子の明るい声がする。

「明彦だけど・・・」と思いっきり暗い声がする。

「あ!生きてたの?論文、提出できたの?」と彼女。

「無事、おととい提出できたんだ。ありがとう」

「じゃあ、暇なのね?」

「・・・暇だよ」

「会えるの?」

「もちろん・・・迎えに行くよ」

「いつ?いつでもいいわよ。20分でこれるでしょ?」

「りょうかい。30分後」

「待ってるわ」


 なんて明るい声で話すんだろうか?つくづく女性は理解しがたいとぼくは思った。


 しかし、都合よく出来ているぼくは、絵美が死んじまえ!といっている間に、また遊び相手ができたので幸福だった。その認識は間違っていた。


 ぼくは非常におっちょこちょいなのだ。それで、好きな女の子のいうことはたいがいうんうんと聞いてしまう。恭子と会う約束をして、ふと気付いた。え~とだな、何をどうすればいいんだろうか?

恭子と明彦、エピソード Ⅳ

 山下公園を歩いている途中で、恭子が「あのね、明彦、私の最初のひとがあなたでよかった、と思っているの」と言った。ぼくは「うん・・・」というだけで、何も言えなかった。


 氷川丸に乗って、その後マリンタワーの展望台にのぼった。


「ねえねえ、双眼鏡で景色を見ていい?」と恭子がいう。「もちろん」とぼくは双眼鏡に10円玉をガチャガチャ入れた。双眼鏡で横浜の光景を眺めながら急に「明彦?」「え?なに?何か見える?」「違うのよ。私を考えないで、明彦の知っている女の子の中で一番好きな人を特定できる?」と驚くようなことをいう。


「え?え?・・・まあ、特定できるけれど・・・」

「私ね、その女(ひと)に会ってみたいの」

「え?え?あの、あのね、恭子、それって、すごくぼくが当惑することじゃないか?」

「でも、私、会ってみたいの。明彦の好きな人ってどんなひとなのか、会ってみたいのよ、ねえ、私のお願いきいてくれない?」

「う~ん、ぼくが、いいよ、OKだよ、といっても相手がOKといわない可能性もあるだろう?」