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A piece of rum raisin - 第3ユニバース

A piece of rum raisin - 第3ユニバース

第3ユニバース:接続

 第3ユニバースと呼ぶマルチバースのひとつで極超新星爆発が起こった。それは第3ユニバースの地球の属する銀河系からはるか離れた銀河団で起こったもので、生じたガンマ線バーストは方向がそれていたために、その銀河系にも第3ユニバースの地球に住む全生物、人類にも影響はなかった。ところが、あまりにも大きな爆発であったために、時空のゆらぎが生じた。第3ユニバースの軸がぶれた。その際に、物質的な影響は極微であった。極超新星爆発の瞬間的なエネルギー放出は非常に短時間に行われ、それが物質的影響を免れさせた。


 しかし、第3ユニバースに隣接する第1、第2と第4ユニバースに第3ユニバースの軸が触れた。4つのユニバースは、第3ユニバースの軸がぶれたために、非常に近接した。あまりに近接したために、まるで、雲から海面に突然現れる竜巻のように、各ユニバースの極超ブラックホールは、ワームホールを介して他のユニバースのホワイトホールに連結してしまった。


 こうして、通常なら同一ユニバースの中で成立するブラックホールからホワイトホールへの物質/エネルギーの循環が、異なるユニバース間で始まった。この現象はこれが最初でもなく、最後でもない。悠久のビックバンの開始以来、分岐したユニバース間での物質/エネルギーの循環は、各ユニバースの物質/エネルギーの均衡を保っていたのだろう。


 もちろん、Massを持つ物質は、シュバルツシルト半径の内側で、ブラックホールの潮汐力により、素粒子レベルまでバラバラになる。そして、別のユニバースに出現し、そのユニバースの構成原子を新たに作り上げるのだ。


 ブラックホールを通って、ホワイトホールから出てくるものの中にはバラバラにならないものもある。それはデータだ。データは質量も何も持たない。データはブラックホールの潮汐力では破壊できない。


 太古の昔から、何百億年まえだろう?知性が、知識が進んで、自らの物質に依存する実体を消し去ってしまった種族がいた。彼らは純粋知性体と呼ばれた。彼らは、元々、ひとつの種族ではない。順次、物質という自らの存在を消し去ることが出来た数々の惑星の種族が、純粋知性体に進んでいった。進む?それが、人間の矮小な概念の進化だとは言えない。単に、進んだのだ。そして、彼らは、データセットそのものだった。


 純粋知性体は、ユニバースにあるブラックホールからホワイトホールへの道を移動した。彼らは、時間軸さえも超越しているので、そのユニバースの中の過去から未来へも移動した。そして、ユニバース間のブラックホールからホワイトホールへのワームホールの道が連結されると、別のユニバースにも移動した。


 しかし、それは、純粋知性体だから可能なこと。通常は別の実体を持った生物のたかが知性データなどはワームホイールを通じての移動はできない。


 しかし、ある星系で、数テラ電子ボルト以上のエネルギーが瞬間的に開放され、ガンマ線が発生し、電子・陽電子の対生成、対消滅が起こり、その近傍に知性ある生命体がいる時、その生命体の記憶・知性データは、偶然の事故的に純粋なデータ、ある種の下位の知性体のような形で、ワームホールを通じて、同一宇宙の別の場所・時間軸へ、或いは、別のユニバースの別の場所・時間軸へ弾かれてしまうことも起こる。


 今回の極超新星爆発は各ユニバースを連結した。


 しかし、数テラ電子ボルト以上のエネルギーが瞬間的に開放される現象はまだ起こっていない。まだ。


 もしもそれが第3で起これば、その影響は、第3ユニバースの幾多の銀河団に生息する生物の思念・記憶を第1、第2、第4ユニバースに飛ばしてしまうだろう。


 どうしてそのような現象が具体的に起こるのかは、検証する必要があるだろう。だが、生息する生物の思念・記憶がデータとして圧縮され、パケット通信のような形で、第3ユニバースから別のユニバースへとダウンロードされてしまうのは確かだ。


 数テラ電子ボルト以上のエネルギーが瞬間的に開放される現象は、フランス・スイス国境にある欧州原子核研究機構(セルン)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で2008年9月に起こった。

第1話 プロローグ、2008年9月8日(月)

第2話 神岡鉱山、2025年9月8日(月)、第三ユニバース

第3話 島津洋子、2008年9月9日(火)

第3a 話 セルン、概要(写真集、イラスト)

第3b 話 セルン、概要(写真集、イラスト)