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奴隷商人 Ⅲ 第21章 ●奴隷商人19、紀元前46年

奴隷商人 Ⅲ
第21章 ●奴隷商人19、紀元前46年

「そうだ。シーザー暗号。単一換字式暗号の一種なんだ」

「たんいつかんじしき?」と絵美。

「平文の各文字を辞書順で何文字分かずらして暗号文にするという単純な暗号だ。つまり、A、B、C、D、E、Fを二文字ずらしたら、原文のA、B、C、D、E、FがC、D、E、F、G、Hに置き換えられる」

「単純すぎるわ」

「いや、それで、象形文字だが・・・」

「これ、本当に象形文字なの?神殿なんかの壁に書いてあるのと違うけど?」


「それは神聖文字だよ。だけど、神殿の壁に刻むなら神聖文字でいいが、普段の生活で使う、例えば、領収書とかを恐れ多くて神聖文字なんて使えない。書くのにも読むのにも日が暮れてしまう。いちいち、ハゲタカの文字とか蛇の文字とか書いてらんないだろう?だから、日本語の漢字を草書体みたいに崩して書いたように、象形文字、ヒエログリフを崩したデモティック、つまり民衆文字が使われたんだ。この文書は、プトレマイオス朝で使われていた中期デモティックだろうな。それで、無作為にデモティック文字をアルファベット26文字と、数字10文字に割り当てている。だから、象形文字の意味を考えても無駄なわけだ。さらに、この暗号鍵の文書によると、文節ごとにシーザー暗号のずらす文字数が違う」

「わけがわからないわけだわ」

「そう。それで、この暗号を解読したら・・・」

「したら?」


「ギザの大ピラミッド、クフ王のピラミッドは、エジプトのギザに建設されたピラミッドだ。古代エジプトの第四王朝(紀元前2500年頃)の王、クフの墓とされる。その横のピラミッドがクフ王の息子のカフラー王のピラミッドで、その正面の参道の先は、大スフィンクスが建っている。20世紀では、第四王朝カフラーの命により、彼のピラミッドと共に作られたとされているが、ウソばっかだ。たぶん、紀元前八千年以上前に建設されたんだろう」

 この書物によると、大スフィンクスの最後部から952ケト、南南東176.5度の方向に進んだ場所にもうひとつの大スフィンクスがある。その大スフィンクスの前脚の間を降りよとある。3つの呪いがあるのだそうだが、それを乗り越えよ、さすれば行き着かん、と書いてあるんだ。


「1ケトは52.4メートルだから、952ケトは49.885キロメートルだ。176.5度は、最後部を基点として、0度は真北だから、176.5度ははほぼ真南だ」


「ムラー、大スフィンクスって、二体あるの?」

「日本の神社の狛犬だって、二体だろう?」

「そうだけど。じゃあ、なぜ、一体の大スフィンクスが、もう一体と50キロも離れた場所にあるのよ?」

「それは俺は知らない。そもそも、大スフィンクスが紀元前八千年以上前、大ピラミッドが建設される5500年も前に存在したこと自体が謎だ。建造時期は知っているが、俺のプローブのデータバンクにはなぜどうして一体が50キロ離れた場所にあるかの知識はない。本体なら知っているだろうが。クレオパトラにでも聞いてみるか?聞く前に殺されそうだがな」

 

「う~ん、じゃあ、『大スフィンクスの前脚の間を降りよ』というのは?そこはなんなの?3つの呪いって何?RPGゲームじゃないんだからね!」

「パピルス文書はそのことには触れていない。降りてどこへ行くのか、呪いの詳しい内容は書いてないんだ」

「どうも気が進まないな」

「行ってみて調べてみる他ないだろ?」

「出たとこ勝負なの?」

「そういうことだ。二週間後くらいにでかけよう。ピティアスの船でアレキサンドリアまで行く。まずは、アイリスが言っているエジプトの武器庫を襲撃する。そこで、高性能爆薬やレーザー銃、携帯式レールガンの銃、火薬を使った銃を入手する。爆薬もあるだろう。プラスチック爆弾があれば申し分ないが」

「襲撃するこちらの武器が紀元前のものでは分が悪いわね」

「急に未来の最新式の武器なんて作れないからな」

「男性は半月刀、ソフィアは鞭、ジュリアは弓、アイリスは吹き矢、エミーは手斧。これじゃあねえ」

「俺とお前とアイリスの念動力とテレパシーもあるだろう?特に絵美の力はエミーの能力で強化される。だから、殺戮に慣れないと。戦闘の最中に引きこもられたら、エミーまで死んじまう。ソフィアとジュリアに言っておくから、明日から訓練だ!」

奴隷商人 Ⅰ

奴隷商人 Ⅱ