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奴隷商人 Ⅳ 第26章 ●奴隷商人24、紀元前46年

奴隷商人 Ⅳ
第26章 ●奴隷商人24、紀元前46年

 う~、船酔いだ。これ、変でしょ?と思う。エミーが意識の前面に出ると船酔いなんてしない。私が出ると船酔いする。同じ体で、なんで違うの?アイリスが「絵美様、船酔いですか?お休みになられた方が・・・いっそのこと、エミー様が出てきた方がいいのでは?」と言う。たまに、意識の前面に出たいけど、出るたびに船酔いじゃあなあ。


 アフロダイテ号、アルテミス号は、20世紀で言うベイルートの北のムラーの港から出港して、ゆるゆると進んだ。沖に出ず、沿岸をつたいながら、日暮れには港に入る。夜の航海は紀元前では禁物だ。今は、ハイファの港を後にして、テルアビブに向かっている。アレキサンドリアまでの航路の4分の1といったところだ。


 並走しているアルテミス号の甲板から、ピティアスが手を振って水平線の方を指した。ムラーが望遠鏡でそちらの方を見た。「おい、野郎ども、同業者がガレー船できやがったぞ。こっちがコルビタ船なんで、商船だと思って襲ってくるかもしれんぞ。迎撃準備しろ!」と怒鳴る。


 ソフィアとジュリアが駆け寄ってきて「絵美様、戦闘服に着替えましょう!」という。え~、あれ?ドロンジョ服?イヤだぁ~!エミーが船酔いだし、戦闘なんだから、交代しろよと言う。え~、あんなの、念動力で一発じゃないの?


「ムラー、念動力であんなの一発で撃沈できるわよ!」とムラーに聞いた。

「絵美、そんなもんを見せたら、これから噂が立つかもしれないじゃないか?隠密でエジプトを襲撃するのに、バレたら元も子もないぜ。たかが、海賊船、別に、ピティアスたちにまかせりゃいい」と言う。「それより、お前、船酔いだろう?エミーに代われ!」と言われた。わかりましたよ。ハイ、交代。

奴隷商人 Ⅳ 第26章 ●奴隷商人24、紀元前46年 に続く。

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