フランク・ロイドのブログ

フランク・ロイドの徒然

第27章 ●奴隷商人25、紀元前46年

奴隷商人 Ⅳ 
第27章 ●奴隷商人25、紀元前46年

 フェニキア人とは商売敵とは言え、金儲けなら同じ、ヘブライ人商人だ。ムラーはヘブライの商人と鹵獲した女奴隷たちの値段交渉をした。彼が交渉し、ピティアスの手下に売った金を山分けさせる。もちろん、マージンは取る。それでも、ピティアスの手下が直接売って買い叩かれるよりは、名のしれたムラーの方が高い金で売れたので、手下たちに文句はない。


 アフロダイテ号は5人のギリシャ女、アルテミス号は3人のギリシャ女に6人のアラブ女を鹵獲した。ピティアスと相談して、ギリシャ女4人、アラブ女2人をヤッファで売った。180アウレウス(約900万円)ほどの売上だ。マージンを取って手下共に山分けさせた。


 残ったアレキサンドリアでもっと高値で売れそうなギリシャ女4人とアラブ女4人は、2隻の船で均等にわけて、手下共に与えた。アレキサンドリアで売るんだから、手荒にするなよ、商品なんだぞ!と手下どもに注意する。手下も心得ていて、奴隷女の機嫌を取りながら、毎日順番待ちをしている。絵美がブーたれる。20世紀の道徳観念を紀元前に持ち出すな、といつも言うが、その癖が抜けない。


 20世紀の日本の学校教育で習う奴隷制度は、英国、スペイン、ポルトガルが行なった西部アフリカ人のヌビア人系黒人奴隷のことを主に教える。紀元前の奴隷は、金髪碧眼のコーカサスの白人、ギリシャ人、ローマ人、カルタゴ人などの白人奴隷も多い。それに驚いていた時期がある。


 ルネッサンス前後では、イタリア人奴隷もかなりいたはずだが、日本人は、奴隷というと、アメリカ大陸に連れてこられた黒人奴隷のイメージが強いんだろう。後世のシェイクスピアのリア王は黒人だよ、と指摘したが、人類に刷り込まれたイメージというのはなかなか抜けないようだ。


 絵美/エミー、アイリス、ソフィア、ジュリアには避妊薬を飲ませている。


 絵美/エミーとアイリスは今妊娠されたら困る。チームの戦闘力が低下する。それに知性体同士で妊娠してどうする?いつか、この世界からいなくなるかもしれんのに、残すオリジナルの体と子供の責任はとれんよ、と絵美/エミーとアイリスに言う。


 絵美は納得するが、エミーは文句を言う。二人(ムラーのプローブと絵美)がこの世界から消えたら、私はどうするの?どうなるの?と言う。俺が、お前を故郷に戻して、族長の娘として結婚すればいいじゃないか?コーカサスに戻してやるよと説明するが、いまさら、普通の生活に戻れないでしょ!私も知性体になる!と駄々をこねる。どうしたもんかな?


 アイリスも、この体から不完全体プローブがもしも抜けたら、私は死んじゃうんでしょ?アイリスとプローブの分離ができないんだから。それ、私(オリジナル)が可哀想じゃない!何か考えて下さい!と泣きつかれる。そうはいっても単なるプローブの俺だ。本体だったら、分離もできるんだろうが、俺にはどうすることもできないと言うと泣き出すのだ。


 ソフィアとジュリアは、その内、解放奴隷にして嫁にだしてやろうと思っているので妊娠させたくないからだ。ソフィアとジュリアは俺の子供が欲しいようだが、俺といても幸せになれるとは限らない。そうだろう?と言うと、ソフィアとジュリアは泣くのだ。まあ、成り行き次第だ。

奴隷商人 Ⅳ 第27章 ●奴隷商人25、紀元前46年 に続く。

奴隷商人 Ⅰ

奴隷商人 Ⅱ

奴隷商人 Ⅲ