フランク・ロイドのブログ

フランク・ロイドの徒然

奴隷商人 Ⅶ、第38章 ●奴隷商人36、紀元前46年

奴隷商人 Ⅶ
第38章 ●奴隷商人36、紀元前46年

 ●ムラーの寝室 2
 ●マンディーサ


 アルテミス号に行ってみると、もう既に娼婦たちが列を作って待っていた。まだ朝早いのに百人ぐらいいる。昨晩、選別された女たちは、列の前の方に並んでいた。そりゃあ、銀貨50枚と手下たちからの心付け、見たことのないような服をもらえて、飲んだこともないような酒を飲んで、バーベキューでラムとツナがふんだんに出れば、また来たいと思うだろう。


 昨日選別された女たちの横を通ると、片膝をついて拝まれた。ちょっと、私はそういうことされる人間じゃないわ。そもそも自分が人間かどうかもわからないんだもの。あ!性欲は人間だわ!


 私と同じ年ぐらいの長身の若い子がはにかんで私を見る。この子は・・・若くて清楚そうなのに手下三人を同時に相手していた子だ。昨晩、私が横を通った時、目があったのだ。さすがに、太陽が出ている今顔を合わすと恥ずかしいのだろう。私だって、恥ずかしい。


 昨日は腰布だけのトップレスだったけど、今は昨日もらった服を着ていて、すごくキレイだ。手下どもにも人気があった。そりゃあそうだ。清楚そうなのに、あれを咥えてしゃぶって、乱れまくっていたんだから。砂漠縦断に奴隷女の中から何人か連れて行こうとソフィアとジュリアが言っていたけど、この子、私の侍女にもらおうかしら?闘えるのかしら?


 その子を列の中から引っ張っていって、少し離れた場所で話をした。


「あなたお名前は?おいくつ?」と聞いてみた。

「ハイ、アイリス様、マンディーサと申します。今年17才になります」拝跪された。マンディーサ?『甘い女の子』ってことね。確かに、男性にとっては甘いでしょう。この子、10人以上としてたわね。生まれついての娼婦の素質があるのかしら?エジプト人だけど、アレキサンダー、プトレマイオスの連れてきたギリシャ兵士の血筋かもしれない。肌が白い。


「あなた、ギリシャ系?」

「ハイ、父はマケドニア出身の家の下級兵士でした。母はエジプトの商家の産まれです」

「ふ~ん、マンディーサ、そういう出身のあなたが、なんでまた、娼婦なんてしてるの?」

「父母は10年前に流行り病で亡くなりました。それから、母の縁戚の家を転々として、食べるためには仕方なく娼婦をやっております」


「そぉ?昨日の夜は、仕方なくって感じじゃなかったけどね?」

「・・・ああ、覚えておられましたか。なんていうか、体が疼きまして。飲んだこともないお酒を飲んでしまって、気がついたら何人もの男性と・・・」跪いていたマンディーサが上目遣いに私を見て言う。舌を出して照れている。女の私から見てもコケティッシュで、こりゃあ、男はほっとかないタイプだな。小悪魔というのはこういう子のことを言うのだろう。

第38章 ●奴隷商人36、紀元前46年 に続く。

シリーズ『奴隷商人』

奴隷商人 Ⅰ

奴隷商人 Ⅱ

奴隷商人 Ⅲ

奴隷商人 Ⅳ

奴隷商人 Ⅴ

奴隷商人 Ⅵ