奴隷商人 Ⅶ、第40章 ●奴隷商人38、紀元前46年
奴隷商人 Ⅶ
第40章 ●奴隷商人38、紀元前46年
ソフィア様、ジュリア様が奴隷女と娼婦に「お前らも海賊どもと同じ金貨百枚のご褒美が出るんだから、欲かいて商売するんじゃないよ!やっちゃいけないとは言わない。そっと男どもと外で逢引するのはかまわない。でも、手下共にも金は払うな、と言ってあるからね。商売したヤツは乳房を切り落としてやるから覚悟おし!」と言い渡す。
年嵩(と言っても20才ちょっとだが)の娼婦が「金貨百枚、死のうと生きようともらえるんですから、商売で銀貨1枚もらってもしょうがねえですよ。溜まっちまったら、女同士でやりやすよ」と言う。ジュリア様が「男も溜まるから、少しはやってやれ。向こうは尻の穴をほるしかねえんだから。それに女同士で女の取り合いもすんなよ」と釘を刺した。
確かに、金貨百枚もらえるんだから、体を許す必要もないなあ、と思う。ま、私は男断ちだから関係ないわ。・・・でも、欲しくなったらどうしよう?あれ?アイリス様が「いっその事、ムスカに抱かれたらどう?」なんて言ってた・・・ない!絶対にない!キモい!
夕食は、野菜と鶏肉のポタージュ、ベーコンを炙ったもの、パンとビールだ。男どもで強い酒が飲めるのは、見張り以外、半数と決めたようだ。
焚き火の側で夕飯を食べているとムスカが寄ってくる。「休戦だ、休戦。俺らが水先案内人だからな。あのな、マンディーサ、明日はベルベル人の盗賊がよく出没する場所を通るから、お前は海賊と腕の立つ娼婦女を2、3人連れて、斥候に出てくれ」という。休戦?まあ、しょうがない。
「ああ、わかったよ。砂丘の陰とか、隠れていそうなところを見ればいいんだろ?」と答えたが、アイリス様の言ったことを思い出しちまった。ない!絶対にない!キモい!
「そぅだ。相手が気づかなければ、ほっておけ。気づかれたら必ず殺せ」
「了解だ」
「話はそれだけだ」
「・・・あ、あのさ、酒、あるか?」
「あっちの焚き火でブランディーを飲んでたな。欲しいのか?」
「・・・少しだけ」
「持ってきてやる」
ムスカが別の焚き火のところから、革袋と木のコップを2つ持ってきた。一緒に飲むつもりか?まあ、別にいいけどね。コップを渡された。酒をついでくれる。
「旅の無事を祈って、乾杯だ」とコップを合わせた。
「・・・うん、乾杯」
「まあ、仲良くしなくってもいいが、俺たちが案内人で腕はこの中でもかなり立つんだから、喧嘩はなしにしよう」
「うん」
「男たちが寂しがってたぞ。マンディーサが男断ちだって聞いて」
「誰がそんなことを!」
「ジュリア様がみんなに言ってたよ。マンディーサは男断ちだから、手を出したら承知しないよ、って」
「うん、まあ、男断ちはほんとだからね」
「我慢できるのか?」
「私を淫乱女みたいに言わないでよ!・・・まあ、商売抜きに男が欲しくなることはあるけど・・・」
「まあ、俺は安心した」
「ハァ?なんで?」
「なんとなく。なんとなく・・・正直言って、マンディーサが他の男に抱かれるのはムカつく」
「なに、言ってんの!私があんたの女でもあるまいし」
「まあ、そうだ。だけどなあ、アイリス様が『いっその事、ムスカに抱かれたらどう?』なんて言うもんだから、気になってきちまった」
「あんたは、アイリス様に惚れてるんでしょ?」
「ああ、でも、1回だけだ。もう抱けない」
「なんで?」
第40章 ●奴隷商人38、紀元前46年 に続く。
シリーズ『奴隷商人』
奴隷商人 Ⅰ
奴隷商人 Ⅱ
奴隷商人 Ⅲ
奴隷商人 Ⅳ
奴隷商人 Ⅴ
奴隷商人 Ⅵ

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