フランク・ロイドのブログ

フランク・ロイドの徒然

【引用】台湾有事、軍事の前に考える


この記事を読んでいて、地図を眺めると、改めて、インドネシア諸島の重要性、パラオの地政学的重要性に気付かされた。もしも、パラオのウィップス大統領の政権が倒れ、新政権が台湾と断交、中国と国交を結び、パラオに中国の軍港が設置されたらどうなるのだろうか?


中国がバシー海峡を封鎖(可能かどうかはおいておいて、海運会社は紛争地の通過を躊躇するだろう)、米国が対抗して、マラッカ海峡を封鎖した場合、日本のシーレーンは東南の方向に迂回せざるを得ない。


その迂回路は、インドネシアのバリ島の東側を通るロンボク海峡を通り、同じくインドネシアのカリマンタン島とスラウェシ島の間のマカッサル海峡を通過して、フィリピンのセレベス海から西太平洋に出る航路になる。


そして、フィリピンのミンダナオ島を抜けたところにパラオが位置している。しかも、パラオは、グアム島の東南だ。インドネシア、パラオがおかしくなった時、台湾有事でロンボク海峡航路で迂回しようとしても、パラオに中国の軍港が設置されたら、迂回できなくなるということだ。


むろん、中国へのシーレーンも完全封鎖になる。しかし、やけっぱちのチキンレースに中国が賭けたとしたら・・・


以下、引用。

台湾有事に関する議論がかまびすしい。シンクタンクなどは実戦のシミュレーションも行っているが、以下は民間企業からの一考察である。


台湾有事の際、真っ先に挙がるのは半導体供給が途絶するリスクである。これは日本企業に限ったことではない。台湾製の最先端半導体のユーザーは米国の巨大IT企業だ。グーグルやアマゾンの経営が麻痺すれば、ただちに世界経済が混乱するだろう。日本企業は脇役と言っていい。


逆にGAFAと呼ばれる企業群が震撼(しんかん)するということは、米軍が必ず介入してくれることを意味する。万一、日米同盟が当てにならなくとも、この点は心強い。ものは考えようである。

中国が台湾侵攻だけの1方面作戦で開始した場合、在日米軍、自衛隊の総力をあげて対処するだろうが、もしも、中国が北朝鮮と連携し、38度線を超えて36度線まで南下、ソウルを人質にして、36~38度線内の韓国の半導体メモリー工場を奪取した場合はどうだろうか?


その場合、日本のイージス艦はある程度北朝鮮への警戒のために、台湾方面の南シナ海には展開できない。また、韓国西岸の原発に電磁パルス攻撃をされ、放射線漏れが起こった場合、在韓米軍は日本に撤退せざるを得ない。


これで、台湾のTSMCなどの半導体工場が集中している台北の隣の新竹区域を占領されれば、世界の半導体サプライチェーンは中国に握られ、米国はデカップリング政策を引っ込まざるを得ない。

日本の艦船が台湾海峡付近を通過できなくなる、というシーレーンへの指摘もある。杞憂(きゆう)というべきだろう。ロンボク海峡経由、船を遠回りさせればよい話である。3日程度の延長ならコストもたかが知れている。一般的に言って、輸送コストは最終製品価格のせいぜい1割を占めるにすぎないものだ。

もしも、パラオが安全ならばという前提だ。パラオに反米政権が誕生、中国の軍港が設置されたらロンボク経由も危険になる。


パラオ大統領来日へ 中国にらみ連携強化

太平洋の島しょ国、パラオのウィップス大統領は12日、日本経済新聞の単独インタビューに応じ、「私が大統領でいる限りは」台湾との外交関係を維持すると表明した。ソロモン諸島とキリバスが2019年に相次ぎ台湾と断交して中国と国交を結ぶなど、中国は太平洋地域で影響力を拡大するが、ウィップス氏はパラオの台湾重視に変更がないと述べた。


民間企業にとって最大の悩みは、非常時における駐在員の退去である。台湾に住む邦人は2.4万人。観光客も少なくない。現地雇員や他の外国人も、台湾脱出の際にはまず日本を目指すだろうから、相当な規模のオペレーションが必要となる。これは正直、政府にお願いするしかない。


これらはすべて、戦争が始まって以降の話である。それ以前の段階で、もっと考えておくべきことがありそうだ。


ウクライナ戦争においては侵略国であるロシアの外貨準備を各国中央銀行が凍結した。前例があることは中国共産党もよく承知していよう。


仮に習近平(シー・ジンピン)氏が武力行使の覚悟を固めたら、米国債や日本国債を処分するのではないか。中国の外貨準備高はざっくり3兆ドル。市場の混乱は計り知れない。円が急落するようなら、わが国は経済的にも軍事的にも支障をきたすだろう。


「戦わずして勝つ」は孫子の兵法が教えるところ。台湾有事の前には金融危機があるかもしれない。民間企業としては、こちらの方に現実味を感じる。この辺の機微は「安保村」の方々にはわかってもらいにくいだろうが。「とにかく防衛費増を」という議論が進行するなか、心もとないものを感じている。