よこはま物語、ヒメと明彦9、良子・芳子と恵子編、ヒメと明彦 XXXXV
よこはま物語
ヒメと明彦9、良子・芳子と恵子編
ヒメと明彦 XXXXV
1977年7月21日(木)
●久美子 Ⅰ
「ここはどこなんですか?私はさらわれたんですか?」
久美子が聞くと、女性が部屋の壁を指差した。床はリノリューム張りで、天井や壁は白くコーティングされた金属パネルだ。やけにだだっ広い。空の鉄のラックが何列もあった。女性の指さしたのは、出入り口のドアの上だ。そこには『マグロ、第六冷凍庫』と書いてあった。マグロ?冷凍庫?
「ここは、港にある冷凍倉庫のようよ」と彼女が言った。「ああ、あの二人?彼女たちは、私よりもここに長くいる。覚醒剤かヘロインを打たれておかしくなってるのよ。私もだけどね。ヤツラは、食事の時、私たちをここから出す。食堂に連れて行って、ヤクを注射する。オ◯ンコにヤクの粉をなすりつける。それで、私たちを犯して、粉をなすりつけてここに戻す。彼女たちは、今、お互いのオ◯ンコに残ったヤクの粉を舐めあってるんだ。ヤクが切れるとそうなる。その内、私のも舐めに来るんだ。あんた、処女なの?見たところ高校生みたいだけど?」
「ハ?処女?・・・処女じゃないですけど・・・」
「そうなの。だったら、ヤツラにオ◯ンコもやられちゃうね。私みたいに。あの二人は処女だから、ヤツラはケツしか犯さない。ヤツラのいうには、処女のほうが高く売れるって話。私は違うから、ヤツラに前と後ろを犯されるんだ。あんたも私と同じだね。前と後ろから同時に。でもさ、ヤクを打たれてるんで、キメセクだから、普通のセックスなんて目じゃなくなるんだ。数日で、ヤツラが来るのが待ち遠しくなってくるのよ。あんたもそうなる。可哀想に」
ヒメと明彦 XXXXV に続く。
1977年7月21日(木)
●後藤恵子 Ⅶ
まったく信じられない!今、私は、良子とファンファンと一緒に新幹線こだまの車内にいる。この子たちの行動がまったくわからない。いいから、いいから、恵子さん、これに着替えて!と言われて、着替えの入った紙袋を押し付けられて、トイレに閉じ込められた。同じ服だと、台湾の連中に気づかれるから、だそうだ。
「良子!なんで急に呼び方が『恵子さん』になったの?」
「台湾の連中に万が一、私たちがあなたを『レイニー』なんて中国語名で呼ぶのを聞かれてはマズイでしょう?だから、ファンファンも芳子と呼んでね」
いや、だからって、渡された服が女子大生の着てそうなフレンチカジュアルよ?白黒の横縞のバスクシャツにベージュの水玉のヒラヒラスカートって何!靴まで用意してある。金色のハイヒール?それで、麦わら帽子?こんな服、着たことない!とトイレの中から抗議すると、ドアの外から「恵子さんは私の体型と同じで、私が持っている服は戦闘服の他にはフレンチなのよ!文句を言わずに着替えなさい!」と良子が言う。やれやれ。
トイレを出た。
「良子、だいたい、どこに行くのよ?尾行している台湾は、隣の車両じゃない?」
「台湾派閥でしょ?だったら、向かう先は、神戸の中華街に決まってるじゃない!同じ車両で見咎められたら問題でしょ?だから、神戸までは、この車両で、駅弁を食べてビールを飲むのよ!」
「良子!神戸までの途中であいつが降りたらどうするの?」
「簡単!神戸の中華街で、ピータンを食べて白酒(パイチュウ)を飲んで、大阪で豚まんとたこ焼きを食べて、横浜に戻るだけよ!」
私たちが話している間に、ファンファン・・・じゃない、芳子が新幹線のパーサーをつかまえた。崎陽軒のシュウマイ弁当、シャケ弁、焼肉弁当を買っている。缶ビールを6缶。おいおい、宴会するの?台湾を尾行してるんじゃないの?
シェアね、お弁当は、みんなでシェア!と二人が言って、プラスチックのコップにビールを注がれた。乾杯してしまう。
なんでこうなるの?
ヒメと明彦 XXXXV に続く。

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