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よこはま物語、ヒメと明彦10、恵子・永福と久美子編、ヒメと明彦 XXXXX

よこはま物語
ヒメと明彦10、恵子・永福と久美子編

ヒメと明彦 XXXXX
 1977年7月22日(金)
 後藤恵子 XI

ヒメと明彦 XXXXIX の続き。

慶子、おぞましい話ね?

 生々しい話だった。実の叔父が高校3年生の姪を犯すなんて。『久美子、これでお前は俺の女だ。たまに可愛がってやる』一時の劣情じゃない、継続して姪を犯すことを考えているなんて。私は唸ってしまった。


 それに、近親相姦は叔父に限らない。『この村じゃみんなやってる。叔父と姪っ子なんてよくある話だ。お前の父親だって隣家の娘とやっているからな。お前の同級生の佳子だって父親とやっている。郵便局の息子は叔母とやっている。昔から、こんな農村は、親戚や隣同士でやっている』なんて村なんだろう!そういう環境に久美子を戻せない、とますます思った。


「なるほど。事情はわかったわ」と慶子が言う。「久美子ちゃん、あなたの村、佐藤さんという名字はたくさんいるの?」
「ハイ・・・村の人口は千人くらいです。その内、6百人くらいが佐藤という名字です」
「そうなのねえ。私は、島根県の生まれで、久美子ちゃんの村みたいなところの出身なの。私の村では、斎藤という名字の家が7割。秋田も島根も日本海側でしょう?平安の昔から、京都の都が戦乱になると、貴族も庶民もみんな地方に逃げ出したの。佐藤も斎藤も『藤』でしょ?これは『藤原』の『藤』から取った名字。平安貴族は、地方では天皇に次いで崇拝されていた。それで、落ち延びて、敵側勢力から身を隠すために、村を落人部落にして閉鎖したの。他所者とはできるだけ接触を絶った。村人は、名主になった平安貴族から、下げ渡された彼らの娘たちと婚姻した。斎藤、佐藤の家が増えていった。中には、久美子ちゃんじゃないけど、叔父と姪、叔母と甥、父と娘、母と息子の夫婦もいたことでしょう。その風習が今も続いているの。そして、村人以外、他所者にはみんな口を閉じているということ」


「・・・あの、言いにくいのですが、私の父が隣家の子と関係があると思います。疑っていました。同級生の佳子ちゃんも父親とやっているという噂がありました。郵便局の息子さんも叔母さんと、というのも聞いたことがあります。みんな佐藤姓です・・・それから、私の母も巡査の佐藤さんとしているようです・・・私も・・・後藤さん、斎藤さん、私もそうなっちゃうんですか?私も叔父に犯され続けて、同じ佐藤になっちゃうんですか?」と久美子が泣き出した。私はベッドに腰掛けて久美子の肩を抱いた。


「慶子、おぞましい話ね?」
「ああ、そうか。恵子は横浜生まれの横浜育ちだものね。田舎の僻地の村の風習なんて知らないのも当然ね」
「田舎の僻地の村の風習?」
「私の島根の村は、久美子ちゃんの村と一緒、近親相姦の風習が今でも残っている村。私も危うく祖父に犯されそうになったことがあるわ」
「祖父?おじいちゃん?」
「田舎って都会と違って結婚が早いから、祖父と言っても50才前半。私は12才頃の話かな。初潮が来てすぐの時。家にもよるけれど、初潮が始まった家の娘は、祖父か父親の兄弟が女にするという風習があるのよ。私は祖父の金玉を蹴り上げてやって、逃げたけどね。祖父は未だに残念だと言うわ。狂ってる。村なんかに住んでいると、都会の常識では理解できない風習があるのよ」


「今でもなの?」
「ええ。あのね、恵子、田舎の近親相姦には意味があるかどうか?わかる?」
「わからないわよ、そんこと。遺伝子的に近親相姦はダメでしょ?信じられない!」
「そうでもないんだなあ。日本で古来、当たり前のように行われていた近親相姦、近親婚は、その大元には理由があるの。ひとつには、近親婚をすることで、身内の財産がよそに流れて行ってしまうのを防ぐと言う意味がある。現代日本でもいとこ婚は可能だけど、都会ではあまりみかけない。でも、田舎では、一家の血の存続、名の存続などと、財産の流出などの理由付けがあって、いとこ婚はかなり多い。現代よりも家と家の結びつきが深かった昔は、近親相姦、近親婚はどちらかと言うと普遍的だった。特に、家柄が優れていたとされる田舎の名家などでは、家や土地などの財産を代々引き継いでいくためには、身内との婚姻が不可欠だった」
「家の名、家や土地のために、好きでもない同士の近親で結婚するの?信じられない」


「もっと、グロい話もあるわ。私の村の近くの村だけど、ウチの村にはない風習がある。その村では、妻が夫より先に若くして先立ってしまった場合、もしその家に娘がいると、娘がそのまま父親の妻として代理で世話をするという習わしがある。母親が亡くなってしまった家の家事一切を子供たちが行うという家はあるけど、この村の風習では、娘が父親の夜の世話までするの。娘は、成人になるにつれて、父親と近親相姦するようになり、よその家に嫁に出される事がない。暗黙の了解でこのような事が行われている。村中でこの風習は隠されていて、反対する人はいない。そういうもんだから、と皆が皆受け入れているのよね。娘はお母さんが亡くなった後にすぐ『嫁修行』として親戚の家に預けられ、49日を迎える頃には実家に戻され、その暁にはもう娘ではなく父親の嫁としての人生を歩むことになる。娘が何人もいた場合、それは長女の役目」


「20世紀の現代でもそんな地域があるの?」
「存在するわ。でもね、近親相姦は、当事者同士の合意があり、性行為の年齢が満たされていれば犯罪じゃない。久美子ちゃんの場合は明らかに強姦事件で犯罪だけど。過去、日本にも当事者同士の合意があったとしても、近親相姦罪はあった。法律上における近親相姦の罪。ドイツなどには存在するけれど、日本では撤廃されている。近親相姦は、社会常識化したタブーの概念。でも、刑法上の罰則はない。人類学的に見れば、近親相姦はむしろ普遍的と言うこともできる」


「慶子、詳しいわね?どうしてそんなに知っているの?」
「だって、私の大学の専攻は民俗学で、卒論のテーマが『日本の僻地僻村におけるタブー視された習俗について』というのだから」
「私は高卒だけど、慶子は立派な大卒。なぜ、あなたが警察なんかに就職したの?」
「そうねえ。社会に対する絶望?人間は出生のしがらみからは開放されない、だから、せめて警察官になって、社会的歪みを正そう、なんてね」
「すごい動機ね?」
「まあ、建前よ」

救済策

「・・・それで、久美子ちゃんをどうしよう?」
「あなたのアイデアでいいんじゃないの?久美子ちゃん、後藤巡査のあなたの救済策よ。聞いてね」
「ハイ・・・」


「久美子ちゃん、叔父さんが言ったことを説明してくれたわよね?みんな近親同士で関係を持ち合っているって。久美子ちゃんも噂でご両親もやっているって聞いた。久美子ちゃんの村も私の村と同じ、近親相姦村。だから、あなたを村に戻しても、ロクなことにはなりそうもない」
「ハイ、そうだと思います。少なくとも、叔父は私を犯し続けると思います。耐えられません。誰かに言ってももみ消されそうです・・・助けてください!」


「たぶんそうなるわ。後藤巡査のアイデアは、彼女が秋田に行って、久美子ちゃんの両親に『叔父が姪を犯したという家の恥』を村の外に公表すると言うの。なんなら、久美子ちゃんの父親が隣家の娘と関係がある、というのを母親に言うのもいいわね。その逆に、母親が村の巡査と関係があると匂わせてもいい。それで、身元引受人の委任状と後藤巡査を身元引受人とする同意書を取り付ける。後藤巡査の知り合いの中華料理店で働いてもらう、秋田の高校は止めて、横浜の夜間高校に通う。その店の寮に住む、これがあなたへのベターなオファーだと私は思う。あなた次第だけどね」


「久美子ちゃん、身元引受人の法的定義はあやふやなの。このアイデアは法的にも問題ありません。高校3年生で、家を離れて、仕事をして身を立てるというのは辛いでしょうけど、村に戻ってもいいことはなさそうだし、また、家出しないといけなくなるかもしれない。働くのは横浜の有名な中華料理店で、私の婚約者が勤めているお店。もう、お店の経営者から了解は貰っている。ウエイトレスみたいな仕事をまずしてもらうそうよ。久美子ちゃん、どう?どうする?今、答えを言わなくてもいいわ。ゆっくり考えて」
「・・・後藤巡査、齋藤巡査、考えるまでもありません!私にはもう村に戻る気はありません。おぞましい関係ばかりの村なんて住めません。もしも、私が働けるなら、後藤巡査の言われる通りにしたいと思います。それしかないんだわ・・・おっしゃられる通りでお願いします。お願いします」


「よし、わかった。ちょっと待っててね」と慶子が部屋を出ていった。すぐ戻ってきた。「ナースステーションでレポート用紙とペン、朱肉を借りてきた。久美子ちゃん、この紙に私の言うとおりの文章を書いて」


 慶子は、久美子ちゃんにゆっくりと、自身の身元引受人に神奈川県警加賀町署の後藤慶子巡査を指名したいという委任状を書かせた。彼女の住所、私の住所、引受先のH飯店の住所を書かせた。最後に、久美子に署名させて、右手親指の指紋を朱肉で押させた。


「これでいいわ。後は、恵子が秋田に言って、これを見せて、久美子ちゃんの両親の身元引受人の恵子への委任状と後藤巡査を身元引受人とする同意書を取り付ければいい。これで、両親も久美子ちゃん本人の意志に反して、村に連れ戻せなくなるわ」
「ありがとうございます、ありがとうございます、これで、私は私の人生を取り戻せます」と久美子がまた泣いた。
「まだ、これからよ。一人で生きていくのは辛いけど、私たちが手助けするわ」と背中を擦って彼女に言った。彼女は泣き止まなかった。

近親相姦の当事者

 病院からタクシーで神戸北野ホテルに行った。まだ、時間が早かったので、永福はホテルに来ていなかった。慶子とカフェに行った。しかし、20世紀の現代で、近親相姦の村がまだある、なんて驚いた。驚いたわ、近親相姦の話は、と慶子に言った。彼女がもっとすごい話をし始めた。


「ねえ、恵子がもしも、15才の中学3年生の女の子で、そういう風習のある僻村で生まれたとする。人口の少ない村で、村の家の70%が斎藤。同学年の子は3人の男の子だけ。頭が空っぽで性欲しかない猿みたいな男の子たち。12才で祖父に強姦されかけた女の子。そこへ、父親と年齢が十数才離れた大学生の叔父が夏休みで東京から数年ぶりに戻ってきた。かなりハンサムで、東京の都会的な雰囲気があった。その叔父がその子に興味を示した。ある日、家族は隣村の法事で家にはその子と叔父しかいなかった。叔父はその子が自慰をしているのを見てしまった。その子も見られたことに気づいた。叔父が『慶子、そんなことに興味があるのか?』とその子に聞いた。『・・・ウン』とその子は答えた。『じゃあ、俺が相手になってやろうか?』と叔父が言う。その子は性欲が強かった。それで叔父と肉体関係を持ってしまった。そして、妊娠し堕胎する。恵子がそんな境遇だったら、どうする?」


「・・・まさか、慶子、あなたは近親相姦の当事者だったの?」
「ええ、そうよ。50才代の祖父とか、酒臭い息を吐く不潔そうな佐藤久美子の叔父だったら、近親相姦なんて御免でしょうけど、僻村に住む15才の女の子が、村にいない都会的な7才違いのハンサムな叔父相手だったら、近親相姦の相手でも悪くないと、セックスに興味津々の中学3年生なら思ってもおかしくない。近親相姦も相手次第ってこと。だから、佐藤久美子は叔父を性の対象として見られないというのはわかる。もしも、彼女が村に連れ戻されたらどうなるかも私には十分想像できる」
「私なんかによくそんな身内の話をしてくれたわね。ありがとう、と言うべきか・・・」
「私は結果として和姦みたいな近親相姦で人生が狂った。あなたは、複数人に強姦されて人生が狂った。そして警察に入った。あなたと私は同族みたいなものよ」


「驚いた、慶子。でも、なんというかなあ、慶子はあまり背負っていないような・・・」
「あなた、高校の時の強姦の悪夢を今でも見るんじゃない?」
「・・・年に1、2度」
「それは、あなたが純粋だってこと。自分が穢された意識があって、自分を貶めたいという罪の意識がある」
「・・・そうかもしれないわ」
「私は、たまに若い叔父が私を初めて犯した時の夢を見る。夢の中だから痛みはなくて、気持ちよさだけがある。夢の中で自分のをイジって快感に溺れたんでしょう、あまりの気持ちよさに目が覚める。パンティーのクロッチにベットリとエッチなお汁がついているわ」

叔姪婚(しゅくてつこん)

「・・・その叔父さんって、今は?」
「東京の大学を卒業して東京で商社に就職。今は課長代理で、私と同い年の7才違いの奥さんと結婚してる。子供が二人。時々会うのよ」
「近親相姦をした間柄で?」
「ええ、『した』という過去形じゃないわ。現在進行形。『している』のよ。奥さんよりも慶子の方が良いって彼は言うわ。抱き合って、二人で背徳感に打ちひしがれながら、赤の他人とするよりも何倍も気持ちが良い濃厚な行為をする」
「・・・まあ、犯罪じゃないんだから・・・」いやいや、ますます驚いた。
「そうね、犯罪じゃないわ。たとえ叔父と姪でも、両者合意の性交なんだから。結婚は日本の法律ではできないけど。ちなみに、日本はいとこ婚は可能だけど、先進国でいとこ婚を認めていない国は多い。ところが、ドイツでは『叔姪婚(しゅくてつこん)』は合法なの」


「しゅくてつこん?」
「『叔父』の『叔』と『姪』と書いて、叔姪婚。おじまたはおばと、姪または甥の結婚がドイツでは許されるということ。だったら、私と叔父はドイツに移住すれば堂々と結婚できるってことね。そんなことはしないけど。やっぱり、日本人の常識では、叔父(伯父)と姪の結婚、叔母(伯母)と甥の結婚なんて気持ち悪い、背徳感に満ちあふれているわよね。でも、古代の天皇家で、天智天皇の娘、つまり、天武天皇の姪が何人も叔父である天武天皇の妻になったケースや、古代ローマ帝国で、皇帝クラウディウスと姪の小アグリッピナが結婚した例もある。面白いのは、日本の法律では、3親等以内の結婚は禁じられていつ。いとこ婚の場合、自分👉両親👉両親の兄弟姉妹👉従姉妹従兄弟の4親等だからオッケーなんだけど、祖父母の兄弟姉妹の大叔父・大叔母は4親等なのよ。年齢差がありすぎだけど、自分のおじいちゃん、おばあちゃんの兄弟姉妹とは合法的に結婚可能ってこと。同じように、自分の甥とか姪とは結婚できないけど、甥とか姪の子供とは4親等離れているから結婚できるということ」
「うわぁ、そこまで行くと、慶子に悪いけど、猥雑だわ。慶子は平気なのね?」
「たぶん、私は恵子よりも感情が薄いのよ。感情が薄くて、自分に起こったことなのに当事者意識がない。背徳感をスパイスにセックスする女ですからね。トラウマが少ししか生じないんでしょう。恵子のように多感じゃない。だから、恵子はトラウマを背負うけど、その分、私なんかよりも人間らしいわ。私は・・・ビッチだわ・・・」


「なぜ、私にそんな秘密の話をしたの?」
「それはね、恵子、私とは違うでしょうけれど、あなたからも背徳の匂いがしたからよ。お仲間じゃない?その話は横浜でゆっくりと。でも、徐さんと幸せそうだから、もうその問題は解決したようね?」
「・・・慶子、するどいわね?」
「まったく、生々しい話をしたら興奮しちゃったじゃない?アソコがジンジンしてるわ」
「・・・あのね、15才のあなたが22才の叔父さんに抱かれた話を聞いて、私もジンジンしてる」


「背徳感のあるセックスっていいものよ。でも、もう止めるわ」
「それがいいのかもしれない・・・私にはわからない」
「恵子には言っておこう。私も今度、結婚する予定。相手は、県警の警視長の息子。県警の飲み会でうまく取り入ったの。素知らぬ顔で、普通の地方の名家のお嬢さんです、って顔をしてやったわ」
「・・・それ、おめでとうって言っていいのよね?」
「まあ、そうね。だから、もう叔父には抱かれない、たぶん。ね?私って、ビッチでしょ?」
「コメントできないわ」
「村の近親相姦社会から、警察内の近親相姦社会へようこそ、ってわけ。警察村、判事村、検察村、みんな仲間内で通婚している。DNA的じゃないけど、近親相姦みたいなものよ」
「慶子、あなた、タフね?」
「私は恵子よりも感情が薄いのよ」

ヒメと明彦 XXXXX に続く。