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#地磁気逆転 Ⅱ ー 地磁気を邪魔する巨大な岩

#地磁気逆転 Ⅰ ー 4万2000年前の地磁気逆転が地球環境を大きく変化させた - フランク・ロイドのブログの続きです。


巨大な岩、どっから降ってきたんでしょうねえ?


ヴァン・アレン帯(Van Allen radiation belt)


地球にはヴァン・アレン帯(Van Allen radiation belt)という放射線帯がある。それは地球の磁場にとらえられた、陽子(アルファ線)、電子(ベータ線)からなっている。1958年にアメリカの人工衛星エクスプローラー1号に搭載されていたガイガーカウンターの観測結果より発見された。この名前は、発見者の物理学者、ジェームズ・ヴァン・アレンからとられた。


ヴァン・アレン帯は地球を360度ドーナツ状にとりまいており、内帯と外帯との二層構造になっている。このドーナツは、赤道付近が最も層が厚い。北極・南極付近は極めて薄い。内側のドーナツは、赤道上高度2,000 - 5,000kmにある比較的小さなドーナツ。、陽子(アルファ線)が多い。外側のドーナツは、10,000 - 20,000kmに位置する大きなドーナツ、電子(ベータ線)が多い


この陽子(アルファ線)、電子(ベータ線)は、太陽風や宇宙線からの粒子が地球の磁場に捕らわれて形成された。陽子は宇宙線から、電子は太陽の太陽風からのものだ。ヴァン・アレン帯は、地磁気の磁力線沿いに運動している。


つまり、地球の地磁気が宇宙線からの陽子、太陽風からの電子を捕らえて、地上はるか上の数千キロ上空で押し留めているということだ。地球の地磁気が、地磁気が逆転するなら、その逆転の間弱まる。その逆転時期には、押し留められた陽子や電子が地上に降ってくるということになる。つまり、ヴァン・アレン帯の高度がどんどん下がってくるという状態になる。地上は電子レンジ状態で丸焦げ。



NASA Explores Earth's Magnetic 'Dent'

南大西洋異常帯

さて、この内側のドーナツ、普通は赤道上高度2,000 - 5,000kmにある。ところが、「南大西洋異常帯」というブラジル上空付近の範囲は、地球の磁場が最も弱くなっている。ヴァン・アレン帯の内側ドーナツがここで落ち込んで、高度300から400kmと地球に最も接近している。この「南大西洋異常帯」は、ヴァン・アレン帯が発見された時にすでにスプートニク1号のデータからわかっていた。

人工衛星や宇宙船にとって、「南大西洋異常帯」はヤバい。「南大西洋異常帯」付近では、ヴァン・アレン帯は高度300から400kmまで下がっている。この高度を通過する人工衛星や宇宙船は、ヴァン・アレン帯の内側ドーナツを通過するということ。もろに陽子や電子を浴びる

南大西洋異常帯による放射線被曝

「南大西洋異常帯」は放射線被曝を生じる。人間だけではない。コンピュータだってトラブルが起きる。国際宇宙ステーションも「南大西洋異常帯」を通過する時、宇宙飛行士は、放射線被曝量を抑えるために、船外活動を行わないようにスケジュール調整が行われている。一日に2~5回はここを通過するのだ。それから、ハッブル宇宙望遠鏡などは、「南大西洋異常帯」上空を通過する時に故障が頻発していた。だから、通過する間は主な装置を停止させている。

地磁気を邪魔する巨大な岩

地球の磁場(地磁気)のエネルギーは、核(コア)の内部で発生した熱を逃がすために起きる、磁気を含む流体の循環運動から発生している。フレミングの法則を思い出そう。地球の内部で回転している核(コア)は巨大なダイナモ=発電機のようなものだ。電力が発生しているなら、フレミングの法則で磁力も発生する。それが地磁気だ。


最近、ロチェスター大学の研究者が「南大西洋異常帯」付近を調査した。その調査で、南アフリカの地底の非常に深い部分の地球の外核(コア)とマントルの境目のあたりに巨大な岩があることが分かった


なんでそんなものがあるのか?太古の昔、超巨大な鉄製隕石でも落下して、マントルに吸収されずに留まったのかもしれない。この巨大な岩は、マントルよりもはるかに高い密度を持っている。この巨大な岩は、周囲と比較すると温度が低く、密度が非常に高い。この岩が時々、マントルよりも深く、外核の中に沈みこむ。それで、岩がマントルの流れを妨げ、磁場の乱れを生んでいることが分かった。


この磁場の乱れが地球の磁極逆転の引き金になるという仮説が立てられている。

NASA Explores Earth's Magnetic 'Dent'


NASA Explores Earth's Magnetic 'Dent'

【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】地磁気が異常に少ない「南大西洋異常帯」拡大の謎 原始惑星「テイア」の名残など諸説も

地球はひとつの大きな磁石だ。それも、ただの磁石ではなくて電磁石である。普通の電磁石は、巻いた電線の中に電気を流して磁石にする。だが地球では、溶けた鉄の球の中で強い電気が流れて電磁石になっている。


この溶けた球は地表から2900キロメートル下にある。地球の半径は約6400キロメートルあるから、この球は半径で約3500キロメートル、月の倍もある大きなものだ


この磁場で、地球上の人間をはじめ全生物は地磁気が作ってくれるバリアーの中にいて荷電粒子や放射線から防護してくれるから安全なのである。


現に1960年代に月に行った米国のアポロ計画に参加した宇宙飛行士は心臓や血管の病気での死亡率が高い。これは地球の磁場が作るバリアーの外に出たので、強い荷電粒子や放射線に曝(さら)されたからだ


日本人宇宙飛行士が行く国際宇宙ステーションは地球の半径の16分の1のところ、つまり地球の表面にごく近いところにすぎないから、バリアーの中


ところで地磁気が異常に少ない領域がある。ここは「南大西洋異常帯」と名付けられている。地磁気が弱まると、特に低軌道を周回している人工衛星などにとっては問題になる。ここでは、人工衛星が上空を通過するときに、不必要な機器をシャットダウンして万が一の事態に備えるほどだ。地球に降り注ぐ荷電粒子の濃度が高まるせいで、ここの上空では人工衛星の故障が増えることが知られているからである。


地磁気の学問は地球物理学の一部で地球電磁気学というが、最近、変なことが見つかった。それは南大西洋異常帯が徐々に広がっていることだ。


過去200年で4倍にも広がり、現在も拡大中だ。現在ではさらに拡大して、アフリカ南西部と南アメリカ東部に分裂しつつある。しかし、その原因はナゾのままだ。


なぜ南大西洋異常帯ができたのかは諸説がある。ひとつは地球に衝突して潜り込んだ原始惑星「テイア」の名残だ。地球は45億年前に生まれたばかりで、地震や噴火を起こすプレートのような堅いものが現在のようにはなかった。衝突したテイアは地球の奥深くにめり込んだ。南大西洋異常帯はその影響が残っていると思われている。


の領域は巨大なもので、まわりにあるマントルよりも1・5~3・5%も密度が高くて熱い。これは「大規模S波低速度領域」とも呼ばれている


しかし大規模なS波低速度領域は別のところ、たとえば太平洋の下にもあることがわかってきた。だが、テイアが落ちていないところだし、大西洋と同じように地磁気が弱まっているわけではない。これはテイア説への反論である。

南大西洋異常帯、S波低速度領域、原始惑星「テイア」の名残

南太平洋、大規模S波低速度領域