フランク・ロイドのブログ

フランク・ロイドの徒然

シリーズ『フランク・ロイドのヰタ・セクスアリス(Ⅱ)』 第五話 真理子

第五話 真理子

登場人物

宮部明彦    :理系大学物理学科の2年生、美術部。横浜出身
加藤恵美    :明彦の大学の近くの文系学生、大学2年生、心理学科専攻
杉田真理子   :明彦の大学の近くの文系学生、大学2年生、哲学科専攻


森絵美     :文系大学心理学科の2年生、明彦の恋人
島津洋子    :新潟出身の弁護士、明彦の愛人
化学科の真理子 :杉田真理子とは別人の明彦と同期の化学科の3年生、美術部
清美      :明彦と同じ理系大学薬学科の1年生、美術部


小森雅子    :理系大学化学科の3年生、美術部。京都出身、実家は京都の
         和紙問屋、明彦の別れた恋人
田中美佐子   :外資系サラリーマンの妻。哲学科出身

あらすじ

 真理子がいた。


「宮部明彦くん、メグ、こんなところで会うのは奇遇というべきかしらね?何していたのかなあ?」と真理子が言う。「ホテルに二人で入って出てきたというのは何を意味するの?あなたがた?」


「・・・」


 そりゃあ、ぼくもメグミも言葉が出ない。これほどギョッとした経験はぼくの短い生涯でなかった。


 ところが、メグミはぼくをかばうように数歩前に出て、真理子に面と向かったのだ。メグミよりも真理子の方が長身だ。


「マリ、私が悪いのよ」とメグミが言う。おいおい、それはマズイよ。ぼくは、メグミのさらに前に立って、真理子の顔を見た。すぐ近くで。「真理子、言い訳はしない。でも、ぼくがキミを裏切ったんだよ。悪いのはぼくだ」


 真理子がにこやかに言う。「美しいわね、二人で悪いのはぼくだ、私だって。でも、ふたりで私をバカにしたのね?」「真理子、そんなことはない。ちょっと話を聞いて欲しい」とぼくは真理子に言った。それで、メグミに「メグミ、悪いけど、一人で帰っておくれ。ちょっと、ぼくは真理子と二人だけで話さなければいけないことがあるから」と言った。メグミは「それって・・・」と言ったけど、「わかった、メグミ、帰るね。マリ、ゴメン・・・」と言って、神楽坂を下っていった。