フランク・ロイドのブログ

フランク・ロイドの徒然

A piece of rum raisin - 第1ユニバース - 第9話 絵美の殺害1、第二ユニバース、1985年12月7日、9日、10日、ニューヨーク 👈NEW

A piece of rum raisin - 第1ユニバース
第9話 絵美の殺害1、第二ユニバース、
1985年12月7日、9日、10日、ニューヨーク 👈NEW

●NYPD、ノーマンのオフィス、1985年12月7日(土)午後

 レキシントンアヴェニューから東52番街を通って、署の裏手へ車を回し、エンジンを止めた。


 殺人、強姦、窃盗、詐欺、ニューヨークの犯罪はキリがない。むろん、犯罪がなくなったら、俺のおまんまの食い上げだが、インスペクター(警視)の給与でこれほど働かされてはたまらない。今日は土曜日だというのに、昨晩から東西南北動き回って、朝になり昼になり夕方になって、やっと署に帰ってくる始末だ。ガキとベースボールをする約束をしていたっけな。これでは離婚されてしまう。


 デスクに戻ると、調書が山のように積み上がっていた。俺のデスクだけならいいが、どのデスクの上にも書類が積み上がっている。文句を言えたものではない。クリスマスまで机の上を整理するのは止めよう。


 俺はデスクに脚をのせて、調書を見る。強姦、強姦、窃盗、殺人・・・近親者による殺人ね、なんだ?旦那が女房を殺害?よくある話だ・・・殺人、強姦未遂、また、殺人・・・ん?日本人?女性?大学生?射殺?狙撃?


 何時だ?と俺は時計を見た。6時か。事件があったのは午前11時ね。それじゃあ、俺が忙しいときだ。場所は?タイムズスクエア?また、派手な場所で殺されたものだ。通り魔か何かだろうな?俺は調書を放り出した。もう帰る時間だ。


 そういうときに決まって電話が鳴る。俺は出ないで帰ってしまおうかと思った。が、デカなんだから、出ねえとしょうがない。「ハロー?」


「ハロー、ノーマン?」

「ああ、ドクター・タナー、マーガレット、なんだい?こんな時間に?俺といっぱいやりたいってお誘いの電話かい?」

「ノーマン、まだモルグにいるのよ。仕事よ。土曜日だというのに、死体は待ってはくれないわ」

「なんだ?まだモルグか?」


「そうよ。あなたどこにいたの?連絡を取ろうと思って何度もデスクに電話したのよ?」

「外回りだよ、麻薬でラリったヤツが発砲事件を起こした、亭主がウィスキーを飲み過ぎてアパートメントに籠城した、飲んだくれが知り合いを刺した、いつものこったよ」


「土曜日はみんな暇だから、余計に何かしたくなるのよ。ノーマン、調書を見た?」

「どの調書だよ?いっぱいあってわかんねえよ」

「女性、27才、国籍日本、狙撃事件」

「ああ、これか」と、俺は最後に見た調書を取り上げた。さっきのヤツだ。


「これがどうかしたか?」

「タイムズスクエア近辺のオープンカフェで撃たれた、即死よ」

「ああ、そう書いてあるな、気の毒に。署のアドミからは領事館に連絡してあるようだな」


「いま、目の前に彼女がいるけど・・・」

「なんだ、あんたが検屍担当か?」

「そう。それで、ちょっと気になるのね」

「何がだ?もったいぶらずに、マーガレット、言えよ」

「現場は、正確に言うと7番街のオープンカフェよ。リッツカールトンの近辺」

「それで?」


「頭蓋の射入口の位置から見て、40°くらいの角度で撃たれている。つまり、路上からじゃなくて、上の方から。凶器は、アーマライト AR-7か競技用ライフルじゃないかしら?22口径よ」

「え~、おい、22口径なんておもちゃじゃねえかよ?よほどじゃなきゃあ死なないぜ?」

「それがピッタリ側頭部にヒット。しかもアーマライト AR-7か競技用ライフルだったら?ビルの上の方から?」


「つまり、通り魔じゃなくて、狙われたってことか?」

「その可能性があるとしか今は言えないけれど・・・死亡証明書を書き終わったらそっちに回すわね」

「わかった。今からブルックリンに行く気はしねえよ。明日は?マーガレットは休みか?」

シリーズ「A piece of rum raisin - 第1ユニバース」

第1話 メグミの覚醒1、1978年5月4日(火)、飯田橋
第2話 メグミの覚醒2、1978年5月5日(水)
第3話 メグミの覚醒3、1978年5月7日~1978年12月23日
第4話 洋子の不覚醒1、1978年12月24日、25日
第5話 絵美の覚醒1、1979年2月17日(土)
第6話 洋子の覚醒2、1979年6月13日(水)
第7話 スーパー・スターフィッシュ・プライム計画
第8話 第二ユニバース

第9話 絵美の殺害1
第10話 絵美の殺害2
第11話 絵美の殺害3

メグミちゃんの「ガンマ線バースト」の解説

シリーズ「フランク・ロイドのヰタ・セクスアリス(Ⅱ)

第一話 清美 Ⅰ、1978年2月24日(金)
第一話 清美 Ⅱ、"1978年2月24日(金)1978年2月27日(月)
第二話 メグミ Ⅰ、1978年5月4日(火)
第三話 メグミ Ⅱ、1978年10月25日(水)
第四話 メグミ Ⅲ、1978年10月27日(金)
第五話 真理子、1978年12月5日(火)
第六話 洋子 Ⅰ、1978年12月24日(土)

 ●クリスマスイブのホテル・バー
 ●女性弁護士
第七話 絵美 Ⅰ、1979年2月17日(土)
 ●森絵美の家
 ●御茶ノ水、明治大学
 ●明大の講堂
 ●山の上ホテル
第八話 絵美 Ⅱ、1979年2月21日(水)
第九話 絵美 Ⅲ、1979年2月22日(木)
第十話 絵美 Ⅳ、1979年3月19日(月)1979年3月25日(日)
第十一話 洋子 Ⅱ、1979年6月13日(水)