雨の日の美術館 第20話 佐渡ヶ島戦闘の戦後処理 👈NEW
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雨の日の美術館 第20話
佐渡ヶ島戦闘の戦後処理 ピックアップ
●遠藤実と遠藤早紀江、2022年3月
早紀江と実(ミノル)は、昨日、主任研究官に呼び出された。主任室のドアをノックした。主任がドアをわざわざ開けてくれる。
「遠藤、まいりました」と二人は主任研究員に敬礼をした。
「挨拶が『遠藤』だけで済むというのは、この夫婦のいいところだな。ご苦労さま」と主任。「さあ、そっちのソファーにお座りなさい」と主任の机の正面にセットされた応接ソファーを指し示す。ドアに背を向けたチェアに誰かが座っている。チェアを回って二人は腰をおろした。紺野二佐がいた。
「紺野三佐・・・いえ、紺野二佐、お久しぶりです」とミノル。尾崎と美香の拉致事件当時は三佐だったが、昇進したのだ。「二人とも元気そうだな。夫婦姿が板についてきた・・・う~ん、サキエは高校3年生の頃とあまり変わらんが・・・」と紺野。
「紺野二佐!少しは成長したんですよ!胸だって多少は・・・」と胸を押し上げながら言いかけてミノルに腿をつねられる。「イタ!」
「それで、主任、何のお話ですか?まさか、サキエの兼務を解いて、電子装備研究所所属一本にする、なんてお話じゃないでしょうね?」とミノル。
「そんなんじゃないよ。まさか、私が大事なサキエを航空装備研究所から移動させるもんか」と主任。「話というのは、あの佐渡ヶ島の件だ。佐渡ヶ島で使用されたレールガンの調査を遠藤夫婦にお願いしたいんだ」
「あれ?現地には南禅二佐、羽生二佐がおられるでしょう?彼らに指示すればいいじゃないですか?」とミノル。
「あんな熟女になったリケジョの説明なんかチンプンカンプンでわかんないわよ」と紺野が言う。
「じゃあ、羽生さんは?元の旦那さんでしょ?」と早紀江。
「サキエ、あいつはな、盗んだレールガンの発射の時・・・」
「コホン、紺野二佐、それに触れてくれるな。防衛大臣は不問に付すと言っていただいて、総理への説明も誤魔化したんだが、省内ではやはり問題で、私はあいつら二人の代わりに始末書を山のように書かされたんだよ、まったく。キミの内閣情報調査室、統合幕僚監本部、航空装備研究所、電子装備研究所、その他、頭を下げて回ったんだ。あいつら、戻ってきたら銃殺刑ものだよ」と主任。
「主任、それはお気の毒でした。防衛大学同期のあの二人のお守りは大変ですからね。何をしでかすか、わかりません」と紺野が頷く。
「まったく、拉致された尾崎くんがいてくれたら、少しは歯止めになるんだが・・・」
「いないものは仕方ないですね。まあ、それで、羽生は、あのレールガン発射の際に『任せておけ!エネルギー充填120%!耐ショック、耐閃光防御!うちぃ~かた、はじめぇ~!・・・これ、一回、やってみたかったんだよ!』なんて言うオタクだ。あんなヤツの報告なんか聞けるもんか」
「羽生さんらしい」と早紀江がゲラゲラ笑って、ミノルにまた腿をつねられた。「あ、スミマセン、思わず笑ってしまって・・・」
「まあ、ああいう常識も何もない二人の報告ではさっぱり状況がわからない。それでだ、多少は常識を兼ね備えている遠藤夫妻に佐渡ヶ島に行って欲しい。まず、レールガンの発射状況、砲身温度の上昇状態、砲身の劣化状態、これらを調べて欲しいんだ」と紺野。
「え?それは私の分野であって、サキエのような電子対処研究部電子戦統合研究室の人間は関係ないんじゃないですか?」とミノルが尋ねた。早紀江は、AIなどのソフト分野が専門だから、レールガンのハード分野は専門外だ。
「それが、佐渡のガメラレーダーサイトで、レールガンがオーバーヒートして焼き付いた際に、東ロシア共和国軍のアナスタシア少尉が、最後の北の極超音速滑空体を転進させたんだ。なんでも、偶然、彼女は、ロシアの管制誘導プロトコルをS-400を管制する指揮通信車のパソコンにコピーしていたらしい」
「え?北の極超音速滑空体が、なぜロシアの管制誘導プロトコルの制御で可能なんですか?」と早紀江。
「彼女はロシアの管制誘導プロトコルが北は改変しないで使っているんじゃないかと疑ったらしい。ロシアの滑空ミサイルYu-71をパクった中国のWu-14のコピーが、北朝鮮の滑空ミサイルだから、もしかすると、管制誘導プロトコルを中国がいじっていないで、北朝鮮もそのまま使っていたとすると制御可能かと思って、試したらビンゴ、極超音速滑空体は誘導電波を出している平壌の基地に転進したそうなんだ。ミサイルの指令誘導(Command Guidance)の周波数10.298GHz、ミサイルのID、DF-ZF-3559まで変えないで、ロシア製のままだったようだ」
続きは、 雨の日の美術館 第20話、佐渡ヶ島戦闘の戦後処理 で。

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