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#地磁気逆転 Ⅰ ー 4万2000年前の地磁気逆転が地球環境を大きく変化させた

「4万2000年前の地磁気逆転が地球環境を大きく変化させた」との研究結果

地磁気(地球が持つ磁気)は、地球に降り注ぐ宇宙線や太陽風を遮る「保護シールド」だ。地磁気は絶えず変化しており、南北の磁極が入れ替わる「地磁気逆転」がこれまでに何度か発生している。


最近の大規模な地磁気逆転「ラシャンプ地磁気エクスカーション」は4万1000〜4万2000年前に約800年にわたって起こったとみられるが、これが地球にどのような影響を及ぼしたのかは不明であった。

原文では地磁気逆転と書いてあるが、これは完全な反転ではなく、以前の極の位置から最大45°の極方位の変化を伴う地磁気の強度変化(地磁気の減衰)だ。

「ラシャンプ地磁気エクスカーション」は、旧石器時代に起こり、地磁気極が北極付近と北緯45度以南4地域の間を短期間に何度も行き来した現象。エクスカーションは約42,000年前と39,000年前の2度起こった。どちらも宇宙線の大幅増加を伴っていた。

地磁気が弱まり、気候変動が起きた......

豪ニューサウスウェールズ大学(UNSW)と南オーストラリア博物館の研究チームは、ニュージーランド北部の湿地帯で4万年以上保存されているカウリマツの年輪を分析。


「ラシャンプ地磁気エクスカーション」での大気中放射性炭素レベルの詳細な記録を作成し、この地磁気逆転によって地球の大気がどのように変化したかを初めて示した。一連の研究成果は、2021年2月19日、学術雑誌「サイエンス」で発表されている。


この記録によると、地磁気が弱まって地磁気逆転が起こった時期に、大気中放射性炭素が大幅に増加していた。宇宙線が継続的に降り注ぐことで放射性炭素が地球に供給されることから、年輪に残された放射性炭素は、この時期、地球に放射性炭素が多くもたらされていたことを示すものといえる。


また、当時の地磁気は、従来、現在の強度の約28%にまで弱まったと考えられてきたが、この記録によると、「ラシャンプ地磁気エクスカーション」が起こる前の約4万2200年前に地磁気が最も弱くなり、その強度は現在の0〜6%にすぎなかったこともわかった。地磁気がほぼなくなり、地球の「保護シールド」が失われたことにより、宇宙線が遮られることなく降り注いで地球の大気中の微粒子をイオン化し、イオン化された大気がオゾン層を破壊して、世界中で気候変動が引き起こされたと考えられる。

氷床や氷河が拡大、ネアンデルタール人が絶滅

この記録を、すでに氷床コアなどで確認されている「ラシャンプ地磁気エクスカーション」の時期の記録と比較したところ、北米で氷床や氷河が拡大し、風帯や熱帯低気圧の仕組みが大きく変化した時期とも一致した。この時期は、豪州本土やタスマニア島で大型動物相(メガファウナ)が同時に絶滅。ネアンデルタール人が絶滅する一方、世界各地の洞窟で壁画などが突然現れた。

近年、北磁極の移動速度が加速している

近年、北磁極の移動速度が加速しており、一部の科学者は懸念を示している。研究論文の筆頭著者でニューサウスウェールズ大学のアラン・クーパー教授は「今、同様の地磁気逆転が起こったら、現代社会に甚大な影響をもたらすだろう。地球に降り注ぐ宇宙線が送電線や衛星ネットワークを破壊してしまう」と警鐘を鳴らしている。

NASA Explores Earth's Magnetic 'Dent'、NASAが地球の磁気の「へこみ」を探る


NASA Explores Earth's Magnetic 'Dent'

人の寿命並み。地磁気逆転は百年もあれば完了することが判明

地球の磁場は絶えず変動しており、大体20万年から30万年に1回南北が完全に入れ替わるわけですが、次の地磁気逆転はいつきてもおかしくなくて、くる時には約100年もあればぐるんと反転完了するかもしれないんだそうですよ?


欧米合同科学班がアメリカ地球物理学会発行の「Geophysical Journal International」に発表した最新論文で明らかになったもの。


これまで地球磁場の逆転は7,000年もの長い年月をかけて完了するものと思われていました(アメリカ国立科学財団(NSF)が行った2004年の調査より)。


しかし、ここ数年の科学者たちの研究によって、これまで考えも及ばなかったようなスピードで南北の地磁気が入れ替わっていたことがわかってきました。


今回発表された論文では、「一体どれぐらいのスピードだったのか? 」という部分にさらに踏み込んでいます。たとえば前回の地球磁場逆転は約100年で完了したという驚くべき数字も発表しているのです。


「何十万年も前のこと、どうしてわかるの?」って思ってしまいますが、これはローマ近郊の湖底に1万年の間、火山噴火のたびに堆積してできた火山灰の地層を検証して確かめめた結果だとのこと。UCバークレイのプレスリリースによると、この火山灰の地層には当時の磁場の向きがそのまま「フリーズ(固定)」されて残っているので、その年代を調べれば、逆転の時期がいつで、逆転完了までどれぐらいの時間がかかったか、確かなことが推測できるんだといいます。


「次の逆転が前回のような急激なスピードで起こるかどうかはわからない。が、起こらないと言い切ることもできない」と、UCバークレイの共同執筆者Paul Renne氏は言ってますよ。

「この地図では、約78万9,000年前から北極が南極大陸を数千年間うろうろし始め、78万6,000年前に向きがひっくり返って北極圏に落ち着いた模様がわかる」(UCバークレイ)


地球磁場が絶えず変動していることは前からわかっていたことです。たとえば北極は過去200年ぐらいの間に600マイル(966km)移動してますし、今年の夏には欧州宇宙機関(ESA)の衛星観測データで、地磁気が弱まってる地域と強まってる地域ができていることも判明しています。


電流の流れの変化が人間生活に影響を及ぼすことも薄々わかっていたことです。例えば、滑走路に方位磁針の向きに合わせた番号を表示している空港では、地磁気変動に合わせて名称を変更したり、番号表記を塗り替えたりしているのです。(去年の秋にもオークランド国際空港で27番滑走路が28番に変更された)。


なので南北逆転の日が近いこと自体は今さらそんなに驚きでもないんですが、そこまで急激に起こるとは…。我々の暮らしにどんな影響が起こるのか考えると空恐ろしいですね。磁場が弱まるイコール、宇宙からの発がん性のある放射線から人体が守れなくなるってことなので、がん罹患率の増加も考えられそうだし。磁場が入れ替わったら電力供給網や磁場に敏感なシステムはひとたまりもない。インフラが受ける影響も相当のものでしょう。


人類はそんな大昔から地球にいるわけじゃないので、どんなに巨大な変化なのかは岩石や地層を掘り返して想像するぐらいしかできませんけどね。まさか自分の目の黒いうちに地磁気逆転がくることはないだろうなーとは思いますが、ほかの人類の目が黒いうちにはくるかもと思うと、何やらいても立ってもいられない気分になりますね。