フランク・ロイドのブログ

フランク・ロイドの徒然

奴隷商人 第3~5章

シリーズ「奴隷商人」

A piece of rum raisin - 第2ユニバース
第9話 絵美と絵美、純粋知性体、絵美と奈々 からの続き。

●第3章 ●奴隷商人1、紀元前47年

(私は行ってしまった。行ってしまった?じゃあ、私は何?私/彼女はどこに行ったの?・・・じゃあ、私/彼女は誰?コピーなの?)


(コピーと言うか、キミらの言葉でクローンというのがふさわしいだろう。データ量もルーチンもまったくオリジナルと一緒だ)

(理解できない・・・)

(その内、慣れるよ。さて、行こうかね)

(どこへ?)


(紀元前47年のフェニキア地方だ。エジプトを平定したジュリアス・シーザーが、しっぽりやっていたクレオパトラ7世をうっちゃって、ポントス王ファルナケス2世を破ったあとだ)


 この知性体と似たような実体のないデータだけの私は、時空を動いている感覚もなく、スッと動いた。眼下の地球の明るい部分と暗い部分が多少変わっただけだった。


 ただ、20世紀の地球じゃない。眼下の球体の夜の部分は暗黒だ。人類は電気など発明していない。夜間の照明はたいまつや焚き火、ロウソクだ。宇宙空間に光が届くほどじゃない。おまけに人類の人口は、紀元前なら全世界で2~4億人程度だったと思う。

●第4章 ●奴隷商人2、紀元前47年

 私は知性体に押された。彼女に入った。ダウンロードってこういうこと?私の意識と知識データが彼女の脳に解凍されて展開されているようだ。展開が終わると、私の意識が彼女の神経系に接続される。



 手と肩が痛い!黒人男に手を捻り上げられているのだ。嗅覚も効き出した。臭い。獣の脂の燃える匂い。おまけに、この体も臭い。香油でも塗られているんだろうか?古代世界は臭いのだ。


 目の前に、古代のアラビア服を着た腹の出ている男がいた。私の体をまさぐっている。陰部に指をいれようとしている。なんてこと!


 私は思い切りその男を蹴り上げた。男がひっくり返る。黒人男がさらに腕をひねり上げ、頬を思いっきり叩かれた。冗談じゃないわ!これは・・・たぶん・・・奴隷の競りなの?競売会?


「この野郎!何をしやがる!」と私が蹴った男が立ち上がって、私の顎を掴んで捻り上げられる。顔を近づけられて、臭い息を吹きかけられる。「おい、お前、ちゃんと動かないように押さえつけておけ!」と黒人男を怒鳴る。

●第5章 ●奴隷商人3、紀元前47年

 大広間は、中心に大理石のベンチの演台が設けられている。演台の上には、地中海世界の津々浦々から集められた男女の半裸の奴隷がポーズを付けて立っていた。



 男女のバイヤーが集っている。体を触って筋肉を調べる者、陰部に手を這わせる者。男も女もフェロモンを撒き散らして、奴隷に触れている。


 アラサーの漆黒の肌をした美しいマダム(ムラーは彼女はたぶんエチオピア人だと言った)が、金髪碧眼のアディゲ人(チェルケス人)の半袖で丈が膝上までしかないリネンのチュニックをまとったティーンであろう男子の奴隷の股間をまさぐっていた。


 根本から局部の硬度を試すためにすりあげているようで、その奴隷は羞恥と心地よさに複雑な表情を浮かべていた。入荷して間もないんだよ、とムラ―が説明する。こういう場面にはこの子は慣れていなさそうだ。


「この子のぶつがちょうどいい具合になったわ。旦那様方、失礼して試してみますわね」とアフロダイテはチュニックから腕を抜くと、奴隷のチュニックをはいで、人目もはばからず、男の子の股間に顔をうずめた。