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奴隷商人 Ⅳ 第25章 ●奴隷商人23、紀元前46年

奴隷商人 Ⅳ
第25章 ●奴隷商人23、紀元前46年

 私たちの乗船する船は、ベタな名前のアフロダイテ号と言った。(ちなみに、今は絵美は寝てる。知性体に睡眠の必要はないんだが、毎日数時間寝る習慣が絵美にはある)もう一隻はアルテミス号。ピティアスのネーミング力がわかるぜ。


 船乗りは女性の乗員をひどく嫌う。拐ってきた女は別。だってね、昨日も絵美がごねたように、おしっこだ、ウンコだ、お風呂だ、さらに生理だ、というので、手間がかかる。男性なら、ふなばたからチンコ出してすりゃあいいし、便所が汚ければ海に飛び込んでクソすりゃあいいのだ。


 しかし、今回は、アフロダイテ号と同じく、アルテミス号にも海水蒸留設備っていうの?あれを設置して、便所もシャワーも工夫したので、女性のやっかいな問題もクリアなのだ。さらに、原油から灯油が出来たので、ムラーが灯油バーナーなんてものを作った。


 海賊共は最初、使い方がわからなかったんだけど、だんだん、薪ストーブで料理を作るよりも数倍便利じゃん!というのが理解できて、好評だ。灯油のコックを捻って閉じれば火が消える。薪ストーブは海水をかけないと消火できない。木造船で火災は一番注意しないといけないことだ。時化の海でも調理ができる灯油バーナーは便利この上ない。


 今回、私(たち)、アイリス、ソフィア、ジュリア、侍女4人はアフロダイテ号に乗り込む。船長はムラー。ピティアスは、部下の配分を考えて、アフロダイテ号に手下/水兵27名、自分が船長のアルテミス号に33名を配置した。女8名も帆の上げ下げ、甲板掃除を手伝えということだ。もちろん、料理も。

 食料は大事よね、せめておいしい食事を取らないと、と絵美が言う。アイリスが丘の家の森にピティアスの手下を連れて行って、イノシシを狩ってきた。ポン、ポンと念動力でイノシシをぶち殺す。手下がそれを見て、アイリスを拝跪するんだ。バカバカしい。たかが、念動力なのに。それで、かなりのイノシシを狩った。それを捌いて、丘の家の女が塩漬け豚にして木の樽に詰めた。塩をキツめにして、ソーセージやサラミも作らせる。


 航海の最初なら低温殺菌していないフェタチーズでもいいかあ、とか絵美は言って、オリーブオイルと香草に漬けたチーズも用意させた。最初にそれを食って、その後は、塩分強めのペコリーノ・ロマーノだね、とチーズのブロックを数百キロ買った。オリーブ、インドのアーモンド、イランのピスタチオ、ペルシャのくるみも仕入れた。ビタミン不足は注意しなきゃと言う。ビタミンってなんだよ?

 籾殻のついたリゾット用の米、小麦も仕入れる。後世の20世紀の小説家や漫画家は、まさか船の上で籾すり、精米、小麦粉挽きをしているとは思わないでしょうね、バカね、と絵美は言う。当たり前じゃねえか?精米した米とか小麦粉を持っていったら、1週間で虫がわいちまうよ。古代ローマじゃ常識だよ!


 絵美が、私やアイリス、ソフィア、ジュリアに聞いて、船の上で何ができるか、メニューを作りましょうとか抜かす。あるもの食えばいいじゃねえか?まあ、仕方ねえ、作った。

奴隷商人 Ⅳ 第25章 ●奴隷商人23、紀元前46年 に続く。

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