フランク・ロイドのブログ

フランク・ロイドの徒然

第29章 ●奴隷商人27、紀元前46年

第29章 ●奴隷商人27、紀元前46年

●シナイ半島沖合、紀元前46年

 シナイ半島は、北を地中海、南を紅海、南東をアカバ湾、西を20世紀のスエズ運河に隣接している半島で、半島の東側がイスラエルと接している。「トルコ石」という意味の「ターコイズの国」とも呼ばれている。半島は外国占領の期間もあったが、古代エジプトの最初の王朝以来、エジプトの一部だ。エジプト人は、半島で古代よりトルコ石を採掘していた。ムラーたちにとっては、敵地だ。

 アフロダイ手号とアルテミス号は、イスラエルのガザ地区を通り過ぎ、シナイ半島沖合に近づいた。アレキサンドリアまでは350キロほどの距離だ。シナイ半島は山岳地が多く、気温も他の中東地域よりも低い。


 夜間航行で危険であったが、俺の作った羅針盤と星空で方向は確認できた。浅瀬さえ気にしなければ問題はないだろう。エジプト王国の領土を通行するのだから、念には念を入れた。水平線に陸地が見えるギリギリのシナイ半島沖合を進む。


 俺は一通りアフロダイテ号の船内を見回りした。船倉は船のピッチングとローリングで水漏れが起こっている。アレキサンドリアの港で陸揚げして船体をマス締めしないとイカンなあと思う。無事に武器庫を襲って武器を奪い、大スフィンクスの片割れの地下の秘密工場を壊滅させて、クレオパトラを抹殺してからの話だ。


 ヤッファで売り飛ばさず、アレキサンドリアで売る予定のギリシャ女4人とアラブ女4人はアルテミス号と公平に分けた。同民族を集めると悪巧みをするだろうから、ギリシャ女、アラブ女、2人ずつを2隻にそれぞれ乗せた。

 水兵の部屋で、奴隷女たちが女王のように君臨していて、一画を囲っている。順番というわけだ。水兵共が取り合いで騒ぎを起こすよりもマシだ。俺は、彼らに20世紀の日本の『最初はグー、ジャンケンポン』というやり方を教えたので、古代ローマで、シナイ半島を進む船の中で、日本語が聞こえる。ジャンケンポン!俺の勝ちだ!などと騒いでいる。この時代は、まだ、アメリカ大陸から梅毒とか性病が持ち込まれていないので、鼻がもげるやつはいない。奴隷女にはちゃんと入浴はかかすな、と言ってある。


 奴隷女たちはこの船の食事や設備に満足そうで、俺の根拠地の話を水夫から聞いているようだ。俺のところは奴隷に対して、そんなに待遇は悪くない。彼女たちは、ソフィアやジュリアに『アレキサンドリアで私を売らないで、フェニキアに連れて行ってくれませんか?奴隷頭様からも旦那様にお願いできませんか?』などと聞かれているそうだ。

第29章 ●奴隷商人27、紀元前46年 に続く。

奴隷商人 Ⅰ

奴隷商人 Ⅱ

奴隷商人 Ⅲ