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フランク・ロイドの徒然

奴隷商人 Ⅶ、第39章 ●奴隷商人37、紀元前46年

奴隷商人 Ⅶ
第39章 ●奴隷商人37、紀元前46年

●ジュリアとムスカ


 早朝から糸を垂れているけど、全然釣れやしない。やっぱり釣りは夜なのか?何で絵美様は急にヒラメのムニエルが食べたい、なんて言い出すんだろう?昼ごはんは、ムニエルよね?ね?ジュリア!と言い出す。


 船倉を覗くと、ピティアスの手下ども、二晩続いた乱交パーティーで使い物にならなくなっている。これじゃあ、釣りを頼むって感じじゃねえな。逆に、女奴隷ども15人は顔の色艶が良い。砂漠行きに残すつもりの娼婦5人も生き生きしている。アイリス様推しのマンディーサは家に帰った。こいつら何人とやったんだろう?私とソフィアがムスカに精力を絞り取られてたのと逆だよ。私はまだがに股であそこがヒリヒリする。


 しかたなしに自分で釣りをしているが、釣りは得意じゃない。ソフィアは女奴隷に新しい女どもの衣装を縫う指導に忙しい。自分で釣りをするしかない。そういやあ、アイリス様が連れていきたいって言っていたマンディーサが朝、親戚と来るんだったな。それまでに、釣れねえかねえ。


 全然当たりがこない竿先をボォ~っと見ていたら、フラフラとムスカが来た。ああ、ジュリア様、おはようございますと私の隣りに腰掛けた。心ここにあらずって顔つきだ。


「なんだ?ムスカ、アイリス様はそんなに良かったか?私やソフィヤよりずっと良かったのかよ?アイリス様に搾り取られたような面してるぞ?」

「そりゃあ、エジプト王家のお姫様です。それに、半分神様みたいなもんです。包み込まれるような、とろけるような、吸い込まれるような、あの感じはスゴイ」

「おうおう、言ってくれるね。確かに、エミー様とアイリス様のあれは名器だよ。ソフィアや私の指だって、ギュウギュウ締めるんだからな。何発やったんだい?ソフィアと私で11発なら、アイリス様相手だ、もっと出したのかい?」

「いいえ、ジュリア様、一発も出してません」

「え?変なことを言うじゃないか?急性のインポにでもなっちまったか?良すぎてでなかったか?」

「・・・いいえ、そんなことじゃなくって・・・射精しようと思っても出なくて、アイリス様も無理にださなくていいんだ、って言って。逆に、射精しない方がいいと思う、と言われました」

「避妊薬は彼女も飲んでるけど?出したって問題ないはずだよ?」


「あ~、ジュリア様、なんて言ったらいいんでしょう。他の女と、いや、人間の女とまったく違うんでさ、アイリス様は。抱きしめて、口を吸いあって、前戯をして、普通の女みたいに彼女も悶てくれました。それで、挿れたんですがね、そりゃあ、もう、こんなあそこがあるか?ってくらいでして。しかし、それで俺のあそこを通して、ええっと、思念?アイリス様の思念が俺に流れてきまして・・・」


「・・・それで?」

「どでかいこんな黒い色があるかってくらいの、光ももれないようなでっかい球体がありやして、それが星空に浮かんでいるんですよ。星々がそれに吸い込まれていきまして、引き伸ばされて、グチャグチャになる。そういうのを通るとギュッと押し縮められて、目も開けられないような眩しい場所に出てくる光景がアイリス様から流れてくるんです。私はアイリス様に挿れたまんまですよ。それで、漏れ伝わってくるのは、もっと知りたい、もっと知識をといううめき声と、永遠に死なない喜び、死ねない悲しみ、永劫の歓喜と絶望、ソフィア様が言っていた過去も現在も未来も見通せるクロノス神みたいな存在、それから離れた喪失感、人間だった時のアイリス様の感情、そういったようなものがどっと俺の中に流れ込んできました」


「・・・続けろ」

「アイリス様は、俺に抱きつきまして、離さないように四肢を俺に巻き付けて、『ああ、ムサカ、わかったわ。ムラー様があなたに私を抱けといった意味が。これは私にわからせる意味があったんだ。人間の男を抱いたらその男が大変なことになる、ってことを。それにお前にも、知性体の入った女を抱いたら大変なことになるってことを。ムスカ、ずっと挿れてなさい。出さなくても私を感じるでしょう?でも、出したら、あなたは止め止めなく出してしまって死んでしまうからね。出しちゃダメだよ』と言うんですよ。俺もわかりました。射精したら止まらなくなるのが。精液が血に変わっても出し続けるってことが」


「・・・なるほど。私だって経験がある。人間じゃないムラー様に抱かれるから。でも、そのプローブが入った人間の男に抱かれる人間の女は、吸い取られるより与えられる方が多いと思うんだよ。おぼろげに、お前が見た光景を私もムラー様に抱かれた時に見たことがある。ただ、アイリス様は自分でもプローブの断面しか入っていないって言っているだろう?だから、あまり制御できないんだよ。ムラー様は制御できるんだろうがね」


「朝まで挿れっぱなしで、でも、射精しないでいました。最後に、アイリス様に言われました。これで最後にしないと、お前は死ぬよって。そうですね。絶対に死にます。ムラー様がアイリス様を嫁にしろとか言われましたが、ありゃあ、まったくの冗談、1回すれば自分が死んじまうのがわかりますって」

「そうか。男と女は違うけど、お前もあれを見たのか?」



ハイ、見ました。ジュリア様、あれは『虚無』です



第39章 ●奴隷商人37、紀元前46年 に続く。

シリーズ『奴隷商人』

奴隷商人 Ⅰ

奴隷商人 Ⅱ

奴隷商人 Ⅲ

奴隷商人 Ⅳ

奴隷商人 Ⅴ

奴隷商人 Ⅵ