よこはま物語、ヒメと明彦5、芳芳編、ヒメと明彦 XXI
よこはま物語
ヒメと明彦5、芳芳編
「ヒメと明彦」を章別に4~5話で書いていたら、章にまたがって、話し手がバラバラになり時間軸も前後してしまったので、改めて、話し手別で分けていこうと思いました。それに、シリーズ「A piece of rum raisin - 単品集」がヒメの話は、全然単品集でなくなってきてますので、改めて、この別シリーズでまとめてます。
登場人物
宮部明彦 :理系大学物理学科の1年生、横浜出身
仲里美姫 :明彦の高校同期の妹、横浜の女子校の3年生
高橋良子 :美姫の高校の同級生
生田さん :明彦のアパートの大家、布団屋さん
坂下優子 :美姫と良子の同級生
張本芳子 :良子の小学校の同級生、中華系帰化人の娘、
張芳芳(ファンファン)
林田達夫 :中華街の大手中華料理屋の社長の長男
吉村刑事 :神奈川県警加賀町警察署所轄刑事
小森雅子 :理系大学化学科の学生、美術部。京都出身、
実家は和紙問屋、明彦の別れた恋人
吉田万里子 :理系大学化学科の1年生、雅子の後輩、美術部
内藤くん :雅子の同期、美術部、万里子のBF
田中美佐子 :外資系サラリーマンの妻。哲学科出身
加藤恵美 :明彦の大学の近くの文系学生、心理学科専攻
杉田真理子 :明彦の大学の近くの文系学生、哲学専攻
森絵美 :文系大学心理学科の学生
島津洋子 :新潟出身の弁護士
清美 :明彦と同じ理系大学化学科の学生、美術部
新シリーズ「よこはま物語」
ヒメと明彦 XXI
1970年2月4日(水)
●良子、小学6年生
ヒメと明彦 XIII、1977年7月16日(土)、雅子の推測 参照。
自分の部屋でタバコを吸いながら、大学の講義の復習をしていた。頭がいたいよ。まいった。良子に合わせて法学部なんて選ぶんじゃなかったよ。そりゃあ、パパもママもおじいちゃんも、張の家から弁護士とか判事が出るなんてすごいじゃないか!と喜んでくれたが、中華マフィアの一家から弁護士や判事が出ていいものなのかね?
それに、法学部を卒業したって、弁護士にはなれない。司法試験などという、人によっては十年受験しても合格できないものが待ってる。この試験に合格しないと、弁護士・裁判官・検察官にはなれない。そう説明したが、わかってくれたんだろうか?
中華系の友だちたちは、芳芳(ファンファン)が法学部?お前、家の連中の弁護でもしようというの?私たちのお友達の中華街の県警加賀町警察署と抗争でもするつもり?吉村刑事に話したのかよ?あいつにとっ捕まったら、弁護、頼むからね、なんて言われた。おいおい。私は、マフィアじゃないよ。まっとうな女子大生ですからね!
変な科目、選んじゃったよ。でも必須だからなあ。法学入門、法律実務入門、憲法Ⅰ、行政法入門Ⅰ・・・専門科目もこなしていこうと思ったけど。まったく。言語も第二言語を履修する必要がある。英語、ドイツ語、フランス語。(70年代に中国語の選択はない)中国語がありゃあいいんだけどなあ。一般教養科目も早めに単位を取っておかないと、二年、三年で苦しくなる、なんて言われて履修してるけどさ、哲学、論理学、倫理学、東洋史、西洋史、日本史はいいとして、自然科学総合講座(物理・化学・生物・数学の自然科学全般)なんて要らないじゃん!
大学入学したら、ボーイフレンド作って、遊び呆ける!という夢が潰えていく・・・あ~あ、男、欲しい。空き家だよ、私は空き家。しばらく、セックスしてないよ!
階下から「ファン!電話だよ!良子ちゃんからだよ!」と怒鳴り声が。二階で受けるから切り替えてとママに怒鳴りかえした。(70年代だ。コードレスなんてないのだ)二階の受話器を取った。
「もしもし、良子?」
「ああ、ファン、夜遅くゴメン」
「まだ、八時だよ。お嬢様は夜が早いね?」
「それはいいから。あのね、今から会えない?会って相談したいことがあるの」
「なんだい?夜八時に?美少女は夜出歩いてはいけないよ」
「いいから!話を聞いてよ!どこにしようかしら?」
「電話じゃ済まない用事みたいね?じゃあさ、私んちと良子の家の中間地点の元町の裏通りのあのスナックはどうかな?深夜営業してるから」
「あ!あそこね!元町のサテンは閉まっちゃうしね。15分で行くわ!」
「着替えさせてよ。暴力沙汰なら、戦闘服を着るから」
「暴力沙汰じゃない!ヌンチャクなんて持ってこないでね!」
「了解!じゃあ、後で」
何着るかな?と思って黒のTシャツ、黒のジーンズ、スニーカーにした。私んちは中華街からちょっと離れたところにある。良子は15分って言ったけど、私は10分で着けるね?
よこはま物語、ヒメと明彦5、芳芳編、ヒメと明彦 XXI に続く。


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