フランク・ロイドのブログ

フランク・ロイドの徒然

こくら物語1-2

こくら物語1-2

第6章

● スイートルーム2


 まいっちゃうなあ、と言いつつ、やっと手を出してくれた。私の後ろから、そっと胸を触ってくれる。揉むんじゃなくて、サワサワと。私の元カレは乱暴だった。胸なんか鷲掴みだったものなあ。それが普通だと思っていたけど、このサワサワはいいわぁ~。乳首が立ってしまうやなか。気持ちよかばい。


 後ろから抱きしめられて、耳たぶば噛まるーとがこげん気持ちよかなんて知らんやった。ゾクッとする。後ろを向かされて、キスされた。キス、うまいよなあ。やっぱり、年上はよか。


 いつの間にか、私のあそこに触れてる。左右にひろげて、私の突起を押し下げしだした。そこ、だめなところだよぉ~。さすがにバスタブ、狭いから膝を立てていたんだけど、思わず脚を閉じちゃう。ちょっと体がビクンとした。


 お~、首筋を舐められて、乳首を触られて、突起を撫でられて、これは・・・声、出ちゃうよ。アン。いい。とってもいい。乱暴じゃない。なんだ。セックスって良いものだったんだね。明彦のがもっと固く大きくなって背中にあたってる。バスタブの中でしちゃうのかな?狭いよね?それとも立たされて、後ろからされちゃうんだろうか?


 明彦が「のぼせるから、体を洗おう」と立ち上がらせた。お!くるかな?後ろから?そういうのしたことないもん。と思ったら、シャワーで頭にお湯をかけられて、備え付けのシャンプーで頭を洗われた。自分でも頭を洗っている。なんだよ!後ろからズブっとしてくれないのかよ?


 ハンドタオルにボディーソープをつけて、首筋からオッパイからあそこを洗われた。まあ、体をキレイにしないとね。いい匂いのする体を抱いてもらわないと。私もタオルを取り上げて、彼の体を洗う。おおお!あれがそそり立っているじゃないの!ひと回り年が違うっていうのに、ご立派!これ、かなり大きいね。私、しばらくしてないから、狭くなってるかも。メリメリ、入ってくるのかしら?ハンドタオルでくるんで、ちょっと握ってみた。ウ!とか言って呻く。可愛い。


 結局、お風呂場ではそれでおしまい。なぁ~んだ。触られてちょっと気持ちよかっただけだよ。焦らされているみたいだ。欲しいのに。彼はバスタオルで体を拭いて、部屋着を着てしまう。私は、ドライヤーで髪の毛を乾かした。


 お風呂場を出たら、ソファーテーブルの上に、買ってきたお寿司やお稲荷さんが並んでいた。ビールと酎ハイ、ワイン、スコッチ、日本酒、ジュースも。氷も買ってあって、彼はスコッチをロックで飲んでいる。私の顔を見て、照れてる。まあ、いいじゃん。俺の女、なんて態度を取らないもんね。


「ミキちゃん、何を飲む?」
「何にしよう?まずはビールとかベタだね。酎ハイ?ワイン?う~ん、明彦と同じものでいいや」
「スコッチ?ロックで?」
「うん・・・って、ハイ、それをいただきます」


 ロックアイスを部屋に備え付けのグラスにいれて、スコッチを注いだ。フォーフィンガーだね。間抜けに突っ立っていた私を見て、ソファーの自分の隣をタンタン叩いた。「ミキちゃん、お座りよ」「うん」と彼の隣にピッタリくっついて座った。二人して、顔を見合わせて、照れる。なんだよ、初めてセックスするカップルか、新婚さんみたいだよ。


 乾杯した。箸を渡された。考えてみたら、夕食食べてなかったんだな。ママのバーでおつまみを食べただけだった。


「ねえ、明彦・・・さん、お稲荷さんを食べた女の子とキスしたこと、ある?」
「何を急に?お稲荷さんを食べた後の女の子とキスしたことはないなあ。なぜ?」
「何を食べようかと思って。それで、食べた後、キスの味が、唐揚げ味とか、お寿司の味とか、鰻味とか、カマンベールチーズ味か、なんかダメでしょ?」
「食べた後、歯を磨けばいいんじゃないか?それか、ウイスキーで洗い流す」
「ガラガラって?」
「うがいじゃないんだから。そんなこと気にしないで、食べなさい」
「ハァイ。お腹すいてるんだよ、実は」
「みんな、食べちゃえば良い」
「それで、満腹になって、食欲が満たされて、性欲が満たされない状態で寝ちゃうのはイヤ!」
「ほどほどに食べれば良い」


「うん。あのね、タオルを押し上げているよ」
「え?」
「明彦のあれが、勃ってます」
「さすがに、可愛い女の子がバスタオルを体に巻いて、横にピッタリ座っていたら勃つよ」
「おおお!私の中で、今、食欲と性欲が葛藤してるの、わかる?」
「わからん」
「押し倒してくれたっていいのに!」
「それは後で」
「ねえ、明彦、焦らしてない?」
「私もお腹がすいているんだよ」
「ひと回り年上の大人はガツガツしないんだねぇ~?」
「いや、私も葛藤中。どうこの可愛い子を抱こうかな、と」
「へへへ、なんかうれしい」


 お寿司を食べた。食べさせたいんだよぉ~。と私は言って、エビは?好きだ。口に押し込む。うまい。ねえ、マグロは?いいね。ハイ、あ~ん。イクラは?ちょっとね。じゃあ、私が食べちゃう。ウニも食べれば?いいの?なんて言いながら、寿司の二十貫パック、稲荷寿司の八貫入パック、鰻のパックもみんな消えた。なんだ、二人とも、とっても空腹だったんだ。でも、こういう感じで食べるのは私にとって新鮮。こんなこと、したことないもん。


 それから、なんとなく身の上話になった。彼は日本人の女性と5年間結婚して別れたそうだ。性格の不一致と言う。お金遣いが荒かったんだよ。ふ~ん。結婚するって、いろいろ相手に合わさないといけないのに、その元妻は気遣いしなかったんだね。


 私は聞かれなかったけど、元カレの話をした。大学で初めてあった話。私から告った話。親に内緒でカレの部屋に転がり込んだ話。酒乱の彼が酔うと私を殴った話。ほら、見てよ。まだ、アザが残っているんだよ、と、明彦に右腕を見せる。ひどく殴られたんだね、と彼は言う。


 うん、それが、だんだん、ほぼ毎晩のようにDVされ出して、大学卒業してから、彼が留守の間に置き手紙を残して、飛び出したの。その後は、直美さんのバーで話したように、バックを抱えて、プータロウになった。


 直美さんのお店を手伝って、ちょっとお小遣いをもらって、一緒に住まないか?って言われたけど、なんか、悪くって、漫画喫茶なんかを転々としている。でも、飛び出してから男性経験はないの。親?ダメダメ、姉が良い子で、私は悪い子だから、両親には嫌われている。今さら実家に戻る気はないんだ~、って。


「論評は控える。人それぞれだもんな。それで、今は、見知らぬ男性と大阪行きのフェリーの部屋に一緒で、男性は、ミキちゃんをどう抱こうか、葛藤中ってことだ」
「私もどう抱かれようか、葛藤中です、ハイ」


 こういうことかな?とか明彦は言って私の肩を抱いた。私は目をつぶって顎をあげた。さっきキスしたんで、うまいのはわかってる。あれ?何々味のキスとか、あれってどうなった?私は、唐揚げ味で、彼が最後に食べたのは鰻だったかしら?もう、ツバも混ざっているんでわからない。スコッチの味はする。


 タオルから腕を入れてきて、胸を触られた。ゾクゾクするよぉ~。彼がスコッチを口に含んで飲まされる。他人の口に含まれたスコッチの味は甘かった。こういうのは、良い。ボォ~っとした。


 いつの間にか、彼がベッドのシーツをはいで、私をベッドに横たえた。タオルをはがれる。彼が、デスクの上の0.01ミリの箱を取ろうとしている。


「明彦、0.01ミリ、忘れて。ナマでしよ。ナマがいい。明彦のをそのまま感じたい」と言った。
「妊娠しちゃうぞ」
「妊娠したらどうする?」
「子供、欲しいの?そりゃあ、責任取らないと。結婚でもしますか?」
「ああ、いいわあ。ひと回り違う若妻になれるのね?って、明彦、私ね、今日、超安全日なのよ。だから、妊娠しませんって。もしも万が一の時は、アフターピルを飲むから、心配なし。ナマでしましょ」
「ミキちゃんがいいなら、私はいいよ」
「ねえ、もう私のあそこ、大洪水でジンジンしてるの。もう何もしないで、挿れて」


 脚を開いて彼を受け入れる。メリメリしなかった。ニュルンと入った。ゆっくりと奥の方に挿れられる。すごくゆっくり。まだ入るの?まだ?これ、長いね?まだ?・・・全部入ったみたい。もう、私のは目一杯奥まで入ってる。私の中がいっぱいだよ。体が勝手に動いて、腰を突き上げちゃってる。


 しばらくゆっくり動いていたけど、だんだん、動きが早くなった。私は声がでちゃう。キスされた。鼻でふいごみたいに荒い息をしている。呼吸困難じゃないか。これは!こんなの初めて!今まで、私、ほんとに逝ったことがなかったんだ!うぉ~、これ、ダメじゃん!反則だぞ!1回で終わらせてくれない!逝こうとして、途中で止められて焦らされたり。明彦に私、貪られている。いや、明彦もかなり我慢してる。私のはいいのかな?なんて、考える余裕がない。


 ものすごい長い時間、体位を変えられて、体を貪られた。何度逝ったかわかんない。最後に、正常位で抱きしめられながら、彼が逝った。熱いのが私の中に注ぎ込まれる。すごい幸福感と安心感があるもんだ。半分、意識がなくなっちゃった。


 それからですね、私たちは、セックス 👉 シャワー 👉 酒を飲む、何か食べる、 👉 セックス 👉 シャワー 👉 酒を飲む、 👉 セックス 👉 シャワー 👉 酒を飲む、 👉 セックス 👉 シャワー 👉 酒を飲む・・・何度したんだろう?


 寝たのは、朝の五時頃だった。二人とも、これ以上やったら死んでしまうと思った。大阪南港に着くのが九時半だから四時間は眠れるかな?なんて考えている内に彼に抱きつきながら、ガァ~って寝ちゃったよ。


 朝、シャワー 👉 何か飲む、何か食べる 👉 セックス はしませんでした。これ以上、👉 セックス したら、彼は病気になるだろう。私は一生、がに股で歩かないといけなくなる。でもなあ、彼は海外に帰っちゃうんだよね。あ~あ、寂しい。


「ミキちゃん、これからどうする?私は打ち合わせがあるから、これから、梅田に行く。ホテルに荷物を預けて、客先に行く。打合せが終わるのが5時過ぎだ。キミはどうする?帰りの船で帰る?大阪を回って、新幹線で小倉に帰る?チケットは買ってあげる。私の帰国の飛行機は明日なんだ」と聞かれた。
「ねえ、明彦、私、なんども抱かれて抱かれて、今、ガニ股状態。でも、夕方には回復する。だから、打合せが終わって、ホテルにチェックインしたら、今晩、23才の女の子をまた犯す気がある?私、犯されてもいいよ。いいえ、明彦に犯されたい!それで、明日、空港にお見送りに行きたい!」
「・・・いいけど・・・それじゃあ、私が帰り辛くなっちゃうなあ・・・」
「おおお!それ、良い!後ろ髪、バンバン引きます!」
「じゃあ、そうしようか」


 大阪南港に着いた。下船口のタラップの斜路を降りて、ターミナルビルに来た。


 直美さんがいた。直美さんが立っていた。おおっと!


「迎えに来たわよ、ミキちゃん」とママが言う。
「ねえ、明彦?これ、今晩、3P?」と明彦の顔を見た。
「えええ?」


第7章

● 大阪南港


 フェリーの到着する九時半まで、まだ四十分くらいあった。私は、ウェイティングラウンジでコーヒーとシュークリームを買った。


 あ~あ、来ちゃいました。どうしよ?「ミキちゃん、迎えに来ましたぁ~」と練習してみる。ぎこちないな。実に、ぎこちない。いやいや、ミキちゃんたちの今日の予定もわからないで、「ミキちゃん、迎えに来ましたぁ~」もないもんだよ。おじゃま虫よね、私。いつもこれだ。考えなしに行動してしまう。


 九時半、32分、35分、38分、時計を見ているのです。あ!来た。ウェイティングラウンジの向こうの通路から、二人が来た。手をつないでないので安心した。それはそうよ。バックとスーツケースを持っていれば、手はつないげないもん。ちょっと安心した。安心したけど・・・


 向こうが私に気がついたみたい。私はとっさに「迎えに来たわよ、ミキちゃん」と言ってしまった!あ!


 ミキちゃんが何か宮部さんに耳打ちしている。あ~あ、やっぱりおじゃま虫じゃない。


「ママ!びっくりした!どうしたの!なんでここにいるの!」とミキちゃんが言う。宮部さんは・・・何か照れている。やったね?二人ともニャンニャンしたのね?当たり前だけど・・・
「いや、その、ミキちゃん、宮部さん、あのね、ミキちゃんがこっちで一人かもって思って、迎えに・・・」としどろもどろになった。
「ママ、迎えに来て頂いてありがとう。宮部さんね、今日は打合せなんだって。それで、五時過ぎに終わるから、それからお食事しましょ、って言われたの。だからね、ママ、今日はこれから二人で大阪観光して、五時過ぎに宮部さんと合流しようよ。お店、大丈夫?なんなら、私とこっちで泊まって、それで明日小倉に帰るって、どう?」と聞かれた。
「いえ、そうねえ。でも、私っておじゃまみたいだから、ちょっと回って、小倉に帰ろうかなと・・・」
「いいから、いいから、ママ。もしもお店が大丈夫だったら、私の言った予定でダメかな?」
「・・・お店は、今日くらい閉めても大丈夫だけど・・・」


「じゃ、そうしよ。ね?宮部さん、それで良い?」
「私はかまわないが・・・」
「だったら、そうしましょ。じゃあ、宮部さん、さっきの場所で、五時過ぎに!」
「あ、ああ・・・ママさん、じゃあ、夕方に、また」
「バイバイ~」


 と宮部さんが行ってしまった。なんなの?


● 大阪のホテルへ
 大阪南港に着いた。下船口のタラップの斜路を降りて、ターミナルビルに来た。


 直美さんがいた。ママが立っていた。おおっと!


「迎えに来たわよ、ミキちゃん」とママが言う。


「ねえ、明彦?これ、今晩、3P?」と明彦の顔を見て彼に耳打ちした。とっさに良いこと思いついた。
「えええ?」
「あのね、明彦の部屋、三人泊まれる?」
「泊まれるとは思うが・・・」
「じゃあ、手配しておいてね。夕方、私とママがその部屋に直接、行っちゃおう。後で、ホテルの場所と部屋番号とか私のスマホにSMSして。もう、取引先に行かなきゃダメでしょ?私、ママに聞いておくからさ。3Pいいかって。ね?お願い。ダメでもいいじゃん!」
「・・・まあ、わかったけど・・・」
「よし、決まり!」


 私はママに「ママ!びっくりした!どうしたの!なんでここにいるの!」と言った。明彦は、私といるのを見られたのでバツが悪いのと、私の悪巧みを聞いて、ママが見られないみたいだ。そりゃ、そうだよね?
「いや、その、ミキちゃん、宮部さん、あのね、ミキちゃんがこっちで一人かもって思って、迎えに・・・」とママがしどろもどろに言う。


「ママ、迎えに来て頂いてありがとう。宮部さんね、今日は打合せなんだって。それで、五時過ぎに終わるから、それからお食事しましょ、って言われたの。だからね、ママ、今日はこれから二人で大阪観光して、五時過ぎに宮部さんと合流しようよ。お店、大丈夫?なんなら、私とこっちで泊まって、それで明日小倉に帰るって、どう?」と聞いた。
「いえ、そうねえ。でも、私っておじゃまみたいだから、ちょっと回って、小倉に帰ろうかなと・・・」
「いいから、いいから、ママ。もしもお店が大丈夫だったら、私の言った予定でダメかな?」
「・・・お店は、今日くらい閉めても大丈夫だけど・・・」


「じゃ、そうしよ。ね?宮部さん、それで良い?」
「私はかまわないが・・・」
「だったら、そうしましょ。じゃあ、宮部さん、さっきの場所で、五時過ぎに!」
「あ、ああ・・・ママさん、じゃあ、夕方に、また」
「バイバイ~」と私は彼の背中を押す。宮部さんはタクシー乗り場に行ってしまった。


「ミキちゃん、なんなの?」とママが目をクルクル回して言う。そりゃあ、理解できないでしょ?
「いいから、いいから。あれ?ママも服を黒で決めてきたのね?私とおそろい。わっかいわね?二人でナンパされそうよ!さ、大阪を見て回ろう!」


 二人、タクシーで梅田に行った。私はママを街中連れ回した。


 ママ、梅田スカイビルって行ったことある?ない?私もない。と、ビルの空中庭園展望台で、屋外で風を感じながら大阪の街を360度眺めた。おお!気持ちいい!ママは、大阪に来たのは5年ぶりよ、変わったわねえ、とか言ってる。


 それから、阪急三番街でショップを見て回り、フードコートで昼食をした。


 明彦がSMSしてきた。ホテルはリーガロイヤルホテルで、スーペリアフロアの12階、部屋番号は1203で、デラックスツインだって。ホテルのサイトで検索すると、おお!豪華!41平米。たっかい!お金使わしちゃったわ。でも、うまくいけば、35才の美女とと23才の小娘を二人、好きにできるんだもん。このくらい、いいよね?私って悪い子だよ。六時に部屋で、と書いてあった。🆗、ママにはこれから聞くからねぇ~と返信した。


「ママ、宮部さんのホテル、リーガロイヤルホテルってとこ。六時にロビーで待ち合わせ。それまで、まだどっか行こう」
「いいけど、宮部さんに悪いわ」と言う。何が悪いんだい?


 ママは美術が好きなので、駅からタクシーで国立国際美術館に行った。


 この場所、ちょうどいいんだ。明彦のホテルがリーガロイヤルホテルというところで、国立国際美術館から徒歩9分。昼食の時、明彦がメールをしてきたから、ルートを調べたのだ。だって、私、全財産の入った重いバックを持ってるプータロウじゃない?あんまり歩くのいやなんだよね。ロッカーがあったので、私とママの荷物を預けた。ママのバック、日帰り荷物じゃないね?これはお泊りセットが入っていると思う。しめしめ。


 国立国際美術館の展示品は、国内外の現代美術が中心だそうだ。面白いのは、美術館の主要部分が全て地下にあること。エントランス・講堂、レストラン、ミュージアムショップなどは地下1階に、展示室は地下2・3階にある。


 ママが、イサム・ノグチ、ウォーホル。エルンスト、カルダー、カンディンスキー、セザンヌ、デュシャン、デュビュッフェ、ピカソ、ミロなどの絵画を見て回れて、目を輝かしている。うれしそうだ。だって、ママは美大の院卒なんだもん。なんで、小倉のバーのママなんかしているんだろう?


 美術作品を見て回って、彼女がこの絵のマチエールはねえとか構図がとか、私に説明してくれた。なるほど、ただ眺めるだけじゃなくて、絵の具の使い方とか、構図の焦点はどこにあるのかとか、作品の時代背景とかを知るともっと楽しんで絵が見られるわけなんだね。


 私たちは、地下1階のカフェでお茶をした。どこの美術館のカフェでも静謐で落ち着ける。フードコートなんかの騒音がなくっていいよねえ。


 私がママに「ねえ、ママ、迎えに来てくれてありがとう。でも、夜行バスで追いかけてくるなんて・・・」と言うと、「だって、宮部さんもちゃんとした人でしょうけど、フェリーの一室で男女二人でしょ?何があるかわからないし、喧嘩しないとも限らない。だから、もしもの時を思って、迎えに来たのよ。なんにもなかったら、おじゃまでしょうから、帰っちゃおうと思ってね。だって、ミキちゃんは私の妹みたいなもんじゃない?心配でした」


「ママ、白状なさい。そうじゃないでしょ?ママは、私と明彦が同じ部屋で、ああいうことやこういうことや、何したりして、それを想像して、悶々となっちゃって、もしかしたら、明彦と私だったかもしれない、とか思って、葛藤があって、思わずバスに乗っちゃったんでしょ?図星でしょ?」
「・・・」
「図星?ねえ?図星?」
「・・・そうよ・・・その通りだわ・・・」


「そうでしたか。じゃあね、私と明彦、ご想像通り、しちゃいました。何度も」
「あ~あ」
「ハイ、気持ち良かったです。生まれて初めて逝くってこうなんだと思いました」
「・・・ちょっと、悔しい、羨ましい」と私を思いっきり睨んだ。
「そうなんだけどね、ママ、じゃあね、ママもしない?」
「ハァ?」


「え~っとね、フェリー乗り場で私が明彦に耳打ちしたじゃん?その時さ、とっさに悪知恵がわいちゃって、明彦に『明彦の部屋、三人泊まれる?手配しておいてくれる?夕方、私とママがその部屋に直接行って、してもしなくてもいいから、ママが良いって言えば、三人でしよ』と聞いたのよ。彼はわけがわからないみたいで、でも、さっきメッセくれて、三人部屋を取ったということ。ツインのデラックスルームだってさ。さあ、ママ、どうする?」
「ミキちゃん、そんな・・・私、そんな・・・三人!三人?そんな経験ありません!」


「大きな声を出しちゃダメだよ、ママ。私だって、三人なんてそんな経験ないよ。第一、明彦が人生、二人目の男性なんだから」
「だったら、ミキちゃんと彼と二人ですればいいじゃない?なんで、私を誘うのよ?見せつけたいの?」
「ママ、直美さん、違います。『ミキちゃんは私の妹みたいなもの』って言われましたが、私だって、ママはプーの私を拾ってくれて、恩人で、姉みたいなものです。それで、私が産まれて初めて感じた幸福感と安心感を姉であるママと共用したいと思いました。彼、うまいし、優しいのよ。それ、ママも味わってみない?私もママが感じるのを見てみたい。私もママに見てもらいたい。それと・・・私、レズじゃないけど・・・ママとしてみたいの」


「頭がおかしいの?」
「いたって、正常よ。まあまあ、ホテルの部屋に行って、即やるわけじゃなし、食事でもして、気が向いたら、しましょうよ、ってこと」
「宮部さんは?彼はどう思ってるの?」
「私のイタズラ程度に思っているでしょうね。でもさ、ママが本気なら、彼、してくれるかもよ。バーでもママは私のタイプ、って言っていたじゃない?でも、彼にはママと一緒に部屋に行きます、三人で泊まりましょう、としか言っていません」
「あ~あ、なんてこと」


「明彦に、本人に、直に聞いてみれば?彼だって、ママ、35才の美女とと23才の小娘を二人、好きにできるのよ?ママがその気なら、据え膳食わぬはって言うでしょ?それに、ママだって溜まってるじゃん!」
「・・・わ、わかった。部屋には行きます。泊めてもらいます。でも、私か宮部さんがイヤなら、ミキちゃん、彼としないで頂戴!」
「大丈夫だって。ミキの勘では、ママも明彦もやる気になるって。それとも、ママ、私とじゃ、イヤ?私だって、ママとあんなことや、こんなこと、しちゃうもん。ママが悶えるのも見てみたい」
「なんか、変態みたい」
「ママ、この現代世界、なんでもありだよ。愛情の形態だって変わるんだってば」
「い、行くわよ。行けばいいんでしょ?」
「そうそう。参りましょうね」


 私たちは、国立国際美術館から歩いて、リーガロイヤルホテルに行った。おお!立派なホテルだ!フロントで、部屋番号の1203を言ったら、部屋に電話して明彦に確認の上で、カードキーを二枚くれた。すごいシステムだね。エレベーターで12階まで上がった。おおお!ワクワク、ドキドキもんだわ。私って、頭がおかしいのかしら?


第8章

]● またスイートルーム!


 エレベーターで12階まで上がる間、私は両膝を擦り合わせた。あそこがむず痒い、ミキちゃんに刺激的なことをいろいろ聞いたからだ。男の性欲って、ある程度頭から来るけど、女のそれは体なのよね。


「ママ、そのバッグ、お泊りセットだよね?」とミキちゃんが聞く。
「・・・だって、ミキちゃんと大阪で泊まるかもしれないと思ったから・・・」いや、ウソだ。もしも万が一、明彦がなんて考えたからだ。だから、下着は勝負下着なのだ。私ったら、なんて女なの。万が一、って、ミキちゃんが喧嘩したらとか、変な考え持ってたのかしら?
「ふ~ん、そうなんだ。下着も?替えの服も?」見透かしたようにミキちゃんが聞く。
「うん、持ってきたわよ」平然と答えた。平然と。たぶんね。


「ふ~ん、ママ、モジモジしてますけど、濡れちゃった?」
「ミキちゃん!」
「だって、脚を擦り合わしてるわ」
「・・・うん、いろいろ想像したら、ジュンとなった・・・」ジュンとなったどころじゃない。部屋に行ったらトイレを借りなければいけないかも。


「やる気ね?ママ?」聞かなくてもわかってるでしょ?
「うん、もう覚悟した。宮部さんさえよろしければ・・・」もう、押し倒されたいのよ!
「よろしいんじゃないですか?彼は?たぶん。で、ママ、宮部さんじゃなくて、明彦だよ。明彦と呼びなよ」
「それは・・・彼に聞いてみる」
「そうそう、本人に聞いてね」


「ミキちゃん、なんだか、大胆になってる!」
「昨日の夜から、頭のネジが何本か抜けちゃったんだよ、私」
「・・・あの、ミキちゃん、彼の・・・その、よかったんだ?」ミキちゃん、経験があまりないからね。
「そりゃあ、もう。大きくって、固くって、長くって、何度も、何度も」イメージしちゃうじゃない!
「・・・ああ、我慢できなくなっちゃったじゃない!」


「そうでしょ?ママも私も最近ご無沙汰で、溜まってるもの。あ!彼にも、ママは溜まってるわよ、って言っちゃったんだよ」バラしたの?
「あ~あ。そうよ!溜まってるわよ!」決壊寸前よ!
「じゃあ、たっぷり可愛がってもらおうね。私たちもね」ミキちゃんともしちゃうんだね。
「3Pだなんて・・・」三人で、と言う代わりに、3Pなんて言ってしまった。


「これから、一生、こんな機会はないかもしれないよ?おまけに、彼は明日、海外に帰っちゃうんだから」これから、一生、こんな機会はない、そうよね。ないわよ。
「ミキちゃん、あんまり言わないでくれる?ジンジンしてるのよ」
「・・・実は、私も」若いなあ。今日、朝までやってたんでしょ?ちょっとガニ股になってるし。
「ミキちゃん、顔が物欲しそうな表情になってる」
「ママだって、アヒル口が半開きだよ」あら?よだれを垂らしそうな表情ということかしら。


 12階に、着いた。ま!ほんとに来ちゃった!


 私も頭のネジが何本か外れたのかも知れない。お店もほったらかして、大阪までストーキングみたいに後をつけてきて、それで出張中の男性のホテルの部屋へ来ちゃった。アラフォーの男と女、それに23才の女の子が一つの部屋に・・・あんなことや、こんなことが?ああされて、こうされて?うぉ~、私、35才なのよ!


「ママ、妄想に浸ってないで。1203室はこっち 👈 、左だよ。行こぅよ、早く」と部屋の案内板を指差す。あら、エレベーターを降りて立ち止まっていたのね。小娘め、妄想なんて言うな!でも、妄想してましたけど。ダメ。早く、トイレを借りないと垂れてきちゃうかも。


 ミキちゃんが躊躇なくドアベルを鳴らした。ま、躊躇は私じゃないからしないわよね。ドアが開いてスーツ姿の宮部さんが立ってる。ちょっと頭をかいて、照れたように「ハイ、ママさん、ミキちゃん、いらっしゃい。どうぞどうぞ」と部屋に招き入れられた。


 ミキちゃん、41平米って言ってたっけ。それって、私のマンションの部屋くらいの広さじゃないの!ツインのセミダブルのベッドが二つ並んでる。あ~、想像しちゃうわ。旅館の敷き並べたお布団みたいで、生々しいわ。ここで三人でああして、こうして・・・セミダブルって、せ、狭いかしら?


 宮部さんが私たちの荷物をクローゼットの横にしまった。彼のスーツケースの横に。


 部屋の窓際にソファーセットとテーブルがあって、私とミキちゃんがソファーの方、彼がチェアの方に座わる。あ~、座ったばかりでトイレかしてくださいって、変よね?


 ソファーで私がモジモジしているとミキちゃんが「ママ、おトイレお借りしたかったんじゃなかったっけ?」と言う。あんたから言わんでいい!って、自分から言い出しそびれたけど。小娘、遠慮なんかないな。そりゃあ、二人、フェリーの部屋でやってるわけだから、遠慮も船の外に投げ捨てたんだろうけど。


「あ!そうでした。宮部さん、おトイレをお借りしていいでしょうか?・・・」
「ママ、忘れてる。宮部さんじゃなくて、明彦と呼ぶんだよ」こ、小娘!
「ああ、そうですね。私も『ママ』って呼ぶのは変だ。『直美』と呼んでいいかな?」と彼が言う。こ、こいつら、もう息がピッタシ合ってる。
「ええ、結構ですよ。じゃあ、私も・・・え~、明彦、おトイレ・・・」
「そこのクローゼットの正面のドアです」


 私はハンドバックを持ってトイレに行った。いない間にミキちゃん、変なことを言わないだろうか?気になるけど、サッサと出ても変よね?パンツを下ろして、便座に座った。あそこを点検。わぁ~、盛大に濡れてるじゃない!おしっこをして、ウォシュレットをビデモードにして洗浄した。した。あ!水圧がきつい!水勢が強になってるじゃない!アン!


 前にバーのお客さんが言ってたなあ。衛生陶器の会社の人。


 ウォシュレットは元々アメリカの会社が作っていた医療用洗浄便座の輸入販売をしていたんだそうだ。痔の患者用として開発されたのだとか。でも、日本人の体にあわず、評判は良くなかった。温度むらがあって、ノズルのせいで、吹き出す水の方向もまちまちな製品だったとか。それで、自社開発を初めた。まず、お尻の穴の位置を便器に針金を張って、開発メンバーの穴の位置をマーキングしていった。具体的にどうやったんでしょうね?わ、わかんないわ。


 お尻の穴は男性社員も調査できるけど、女性のアソコは女性社員にやってもらわないといけないということで、嫌がる女性社員とその家族に依頼して、男女合わせて300人分以上のデータを集め、最適なノズルの位置を突き止めたんだそうだ。


 それで、ノズルをお尻の穴、直下じゃあ、あれがくっつく。だから、穴から後ろに設置して、離した場所から噴射させることになった。なったんだけど、角度が問題で、試行錯誤して、ノズルの角度は43度なんだそうだ。


 って、ウォシュレットの話を思い出している場合じゃない!腰をグラインドさせてあそこと周辺を洗った。温風で乾かすのも音、気になる!トイレットペーパーでぬぐった。う~ん、お湯じゃないわね。ネットリしてるのがついてる。洗ったはずだけど。溢れてくるのかしら?イヤン。えい!しかたない!感じて濡れてくるんだもん。どうしようもないでしょ?


 私は化粧を直した。パンツ、どうしよう?脱いで点検すると、クロッチの部分にもベットリついてる。あ~、こんなの見られちゃ恥ずかしい・・・いやいや、わざわざパンツをひっくり返してクロッチを見る変態なんか・・・ミキちゃんだったらやりそうだわ。


 ハンドバックの予備のパンツをはいた。ブラの色と合わないけどしょうがない。お化粧を直した。


 トイレを出た。ミキちゃんと彼はホテルのメニューを見てる、あら?外でお食事するんじゃないの?


 私はミキちゃんの横に座った。ホテルのソファーってなんで低いのかしら?私のワンピ、短すぎたかな?と思って裾を引っ張り、ヒザ下を斜めにして座る。うん、きれいな座り方だよね。婚活の講習できれいな座り方を習ったもんね。って、ミキちゃん、膝を立ててるわよ。それに今日は昨日のホットパンツじゃなく、ミニスカート。見えるじゃないの?・・・ま、もっとすごいのを見せ合ってるんだっけね、この二人は。


「え~、あの、直美、ルームサービスで何かとろうとミキちゃんと話してたところ。何がいいでしょう?」
「ハイ、何があるんでしょうか?」
「直美さん(ミキもそう呼び初めるか!)、和食か洋食か、ヘビーなのかライトなのか?どうする?私はお寿司が食べたい。昨日もいっぱい食べたけど」ああ、ああ、昨日もね、昨日もお寿司をフェリーのお部屋で召し上がったんですのね!小娘め!
「エエ、私もお寿司でかまいません」
「じゃあ、このなか田というお店から仕出しが注文できるらしいから・・・小鉢、握り寿司9貫、細巻き、お椀、デザートはどうだろう?三人前で」
「いいわね、おいしそうよ、直美さん」とメニューの写真を見せる。税抜き6千5百円!高いわ。悪いわよ、彼に。「じゃあ、私もそれで」と答えた。彼に悪いわ、というのはどこに行った?


 待てよ?ここで食べるということは、ボーイさんがトレイか何かで持ってくるわけよね?そうすると、アラフォーの男女とどうみても若い女の子の三人がいるのを見るってことであって、ボーイさんは、あれこれ想像して、こいつら、三人でエッチィするのか?!とか思われるわけで・・・


「ミ、ミキちゃん、ボーイさんがお食事を運んできたら、私、どういう顔をしたらいいの?」とアラフォーの女が小娘に助言を求めている。情けねえ・・・
「直美さん、すましてさ、さも、明彦の妻でございます、って顔をして、ミキは妹、なんて見下した顔をすればいいじゃん!」お前、小娘!ずる賢いやつ。でも、わかった。彼の妻の顔ね。妻の顔?


「妻の顔って何?」
「だぁ~から、直美さん、まず、座る位置だよ。私と明彦が入れ替わって」とサッサと立ち上がって、彼の手を引いて自分の座っていたソファーに座らせる。「それで、明彦が直美さんの肩を抱いてさ」と彼の右手をとって、私の肩に回してしまう。
「ミキちゃん、あのね」と彼が文句を言う。
「いいから、肩を抱き寄せて」
「こ、こうかな?」明彦も何してんのよ!
「もっと抱き寄せて。そうそう。それで、直美さんが明彦の顔を見上げる。それで、ボーイが来たら『あなた・・・』なんて話しかけるんだよ。それが妻の顔じゃん!」


 ゲェ~、小娘になにやらされてんの!彼も私の肩を抱いちゃって!「ほら、直美さん、『あなた』って言ってみなよ」恥ずかしいことを。「じゃあ、明彦が『おまえ』とか言ってみてよ」「練習するのか?」「うん」「・・・おまえ・・・」こいつら、バカじゃない?「・・・あなた・・・」私もバカだ!


「お~、夫と妻に見えるよ。大丈夫」
「ハハハ」と明彦が照れ笑いした。「おっとそうだ」と立ち上がって冷蔵庫の上のアイスバケットとウィスキー、グラスを持ってきた。「バーボンとスコッチを買ったんですよ。ワイルドターキー12年とグレンフィディック。これでいいかな?昨日もウィスキーだったしね」と言う。私はウンとうなずく。そうよねえ、昨日の晩に小倉の私のお店に彼が来たんだもの。それが今は大阪。夜行バスで後をつけてね。あ~あ。「まずは、バーボンで。トリプル、ロックでいいよね?」私はまたウンとうなずく。


「ハイ、乾杯」と明彦がグラスを上げる。私とミキちゃんがカチンとグラスを合わせた。あ~、おいしい。のどをバーボンが駆け下る。ちょっと落ち着いたわ。でも、え?彼が自然に私の肩をまた抱いた。ボーイさんが来た時だけじゃないの?ミキちゃんがニヤニヤして見てる。


 ミキちゃんと今日いったところの話なんかした。


「国立国際美術館はよかった。世界のの現代美術中心の展示品で、誰だっけ?ピカソとかアンディー・ウォーホルの作品なんかがあって、直美さんがマチエール?マチエールの話とか、構図の話を説明してくれたの」と明彦に言う。
「へぇ~、直美、美術に詳しいの?」と聞かれた。肩抱かれていて、か、顔が近い!
「ええ、私、美大を出たんです」と言う。
「直美さんは、美大の院卒なんだよ、明彦」
「ほぉ、それがまたなんで、バーのママさんを?」
「美大なので、就職も専門と関係ないところしかなかったんです。それで、数年勤めたんですけど、上司のセクハラがあって、辞めてしまって、知り合いがあそこを経営していたので、それでなんとなくバーのママさんやってます。専門は絵画の鑑定なんですが、それじゃあ就職口もないですよね」と彼の顔を・・・ち、近い!


「そりゃあ、もったいない。アトリエとかでも絵画鑑定はありそうだけどなあ。サザビーズなんかでも募集しているんじゃないですか?美術館でも?」あら、知ってるのね?
「う~ん、もう、その道にあまり興味がわかなくて。アラフォーだけど、誰かお嫁にもらってくれないかな?なんて思ってます」
「だったら、明彦にもらってもらえば?直美さん!」こ、小娘!なんちゅうことを!お前、彼に抱かれたんだろ?それも今朝まで!
「あ、そうしましょうか?直美?」と、なんちゅうことをこの男も!
「何言っているのだか・・・」顔が赤くなった。


 タイミングよく(悪く?)、ドアチャイムが鳴った。お寿司が来たみたい。


 ボーイさんがテキパキとお料理をテーブルに並べてくれる。お寿司はまとめてひと皿に並べてある。確かに、部屋のテーブルは狭いものね。


「おまえ、直美、おいしそうだね」と彼が肩を抱いて言う。
「あなた、お寿司にして正解ですわ。ねえ、ミキ」おお、即興で私もうまいこと言う。
「お姉さま、私、お寿司、大好き!」お姉さま?お姉さま?


 明彦がボーイさんにチップを握らせた。いやいや、当ホテルでは・・・とか言ってるけど。ボーイさんが出ていく。


「キャハハ、『おまえ、直美、おいしそうだね』、『あなた、お寿司にして正解ですわ』だってさ。いやあ、面白い!ボーイは夫婦だとちゃんと信じたよ。ねえねえ、夫婦になっちゃえばいいじゃん!」こ、小娘!小娘!小娘!「さあ、食べようよ」


 みんなお腹が空いていたみたい。瞬く間になくなった。空き皿どうしよう?部屋の外の廊下に出しておこうかしら?「ミキちゃん、お皿、廊下に片付けよう」「ハイ、お姉さま」やれやれ。


 片付け終わって、またソファーに座った。


「さあ、食欲は満ちたわね、お姉さま?」と言う。
「うん、お腹いっぱい」
「じゃあ、食欲の次は性欲じゃない?」
「ミキちゃん!」と私も明彦も言う。明彦が私の顔を見た。顔が赤くなってる。


第9章

●またスイートルーム!2


 またソファーに座った。


「さあ、食欲は満ちたわね、お姉さま?」と言う。
「うん、お腹いっぱい」
「じゃあ、食欲の次は性欲じゃない?」
「ミキちゃん!」と私も明彦も言う。明彦が私の顔を見た。顔が赤くなってる。私も顔が火照る。


「二人とも、正直じゃないなあ。直美さんも三人でしたいって、エレベーターの中でも言ってたじゃん!」こ、この小娘!「しちゃおうよ。明彦だって、美人の美大の院卒の女性と23才の女の子としたいでしょ?こんな機会、たぶん一生ないんだよ?え~、誰だっけ?幸運の女神には前髪しかない、だからチャンスがやって来たら逃さず前髪をつかめって」
「・・・レオナルド・ダ・ヴィンチ」と私。
「そぉそぉ、それ!ダ・ヴィンチ!だから、後ろ髪を引かれる想いはしちゃダメなんだよ!あれ?なんで、幸運の女神は後ろ髪がないの?変な髪型だよね?」


「それはね、ギリシャ神話の 運命の女神、テュケーなら、髪の毛は普通なの。だから、彼女の話じゃなくて、ギリシャ神話の概念の異なる二人の神様、流れる時間を意味するクロノス神と、ターニングポイントなどの瞬間の時を意味するカイロス神がいて、この一瞬のチャンスを逃すな、でも、前髪よ、後ろ髪はカイロスはツルッパゲだから、ということ。女神じゃない。ダ・ヴィンチは間違えたのね」と私は、スマホでカイロス(Kairos)を検索して二人に見せた。美大ってこんな役にも立たない雑学を教わるんだよね。こりゃあ、ほんとに誰かにお嫁にもらってくれないと潰しが効かないじゃないの?


「おおお!ほんとにつるっパゲじゃん!女神じゃないんだ!まあ、とにかくですね、今、このカイロスが直美さんと明彦と私の横を駆け抜けようとしているんだよ。まだ、前髪を捕まえれば間に合う!さあ、二人ともどう思う?」なんか、妙に説得力があるじゃないの?


「ミキちゃんは変な子だよなあ」と私に向かって明彦が言う。「だってさ、フェリーに乗る前の買い物で、コンビニでもちゃっかり0.01ミリ買ってくるし、フェリーの中でも妙に説得力があって、ミキちゃんに流されちゃったというか、いつの間にか・・・あの、その、直美、私は彼女を抱きました。隠す必要もない。それで、正直に言うと、こんな自分に都合がいい話はないんだけど、私は、直美さんも好きです。抱いてみたい・・・その、三人で・・・」と言われた。言われた。言われた。あああ、どう答えよう?


「直美さん、大丈夫だよ。0.01ミリもあるから。私、フェリーから持ってきたんだ。未使用だよ」とミキちゃん。え?
「え?未使用?」
「うん、昨日は超安全日だったから、ナマがいい!ナマでして!って明彦に言って、ナマです、ハイ」
「まあ、呆れた!妊娠したらどうするのよ!ミキちゃん!」
「一瞬、明彦の子を産んで、責任をとって、年のひと回り違う若妻になれるのね?って思ったけど、万が一の時は、アフターピルを飲むから、心配なしってことで、ナマでお願いしました。ナマはいいです!いっぱい熱いのが中に注がれて。だから、0.01ミリ、まるごと余ってますから、直美さんが心配だったら、0.01ミリがあります!」
「・・・」


「明彦、もう、直美さん、ぐっしょりだよ」この小娘!
「ミキちゃん・・・あなた、明彦に抱かれたじゃない。その彼が私を抱いてもいいの?」
「うん、いいよ。だけど、明彦 👉 直美、明彦 👉 美雪だけじゃなくって、直美 👈👉 美雪もあるんだから、父と子と精霊の御名において、三位一体しちゃうんだよ。私、言ったでしょ?彼が直美さんを抱くのを見てみたい、私も彼に抱かれるのを直美さんに見てもらいたい、私と直美さんが絡むのを彼に見てもらいたいって。いいじゃん!直美さんは私の姉みたいなものだから、明彦、姉妹を同時に抱けるわよ。誰が誰を所有するとか、関係ないんだから。嫉妬なんてないわよ。もう、私、元カレみたいに誰かのもの、俺の女って、我慢出来ないんだもん」
「あ~あ・・・ええ、しましょ。カイロス神の前髪を捕まえましょ」
「ねえ、カイロス神がもっとはげて、前髪もなくなって、カツラだったら、捕まえられないね?」
「やれやれ」私と明彦が同時に言った。


 ミキちゃんが私の足元に跪いた。こんどはなんだよ?


 手を私のワンピの中に差し込む。おい!こら!「ミキちゃん、何するの!」と脚を閉じようとしたけど、奥まで手を差し込まれてしまった。「ほぉら、ぐっしょり。パンツのクロッチを透って、もう濡れてるよ。直美さん、エッチィだね?」


「ミキちゃん!私、夜行バスでシャワーも浴びてないのよ!」
「いいから、いいから。明彦もボォ~っとしてないで。直美さんとキスしなよ。直美さん、私と違って、痩せてるのに胸大きいよ。Eカップぐらいはある。私にしたみたいに、彼女にキスして。明彦、もうあそこ、固くなってるじゃん!ほら!」とミキちゃんは強引に私の手を取って、彼の股間においた。


 あ!固い!大きい!ああ、ダメ。思わず握りしめた。欲しい!もう、観念。私は明彦の方に顔を向けて、目をつぶった。唇を開く。小娘、アヒル口とか言ってたわね?どうせ、アヒル口の受け口ですよ!キス、好きですよ!悪かったわね!


 彼にキスされた。ありゃあ、キス、うまいわね。ネットリ舌を絡めてくる。ゾクゾクする。ミキちゃんは私のパンツの脇から指をいれて、かき回している。ジンジンしてくる。クリを擦られる。そこ、大変、弱いのよ。彼のはもっと固くなってる。もう、キスできなくなって、口を離した。アンアン言ってしまう。ちょっと、逝った。


 彼に抱きかかえられて、ベッドに。ワンピをミキちゃんに脱がされる。着せ替え人形じゃないのよ?私は?あ~あ、上下色違いのブラとパンツ、見られた。ミキちゃんがシーツをはぐ。仰向けにならされた。明彦も服を脱ぐ。ミキちゃんも。


 ブラもとられた。ミキちゃんにパンツも脱がされた。おいおい、二人で私を攻めようというの?明彦がキスしたり、耳たぶを噛んだり。脇の下を愛撫されたり。脇の下!止めて。そこダメ!逝っちゃうの。体がビクビクする。ミキちゃん、何してるの?私のあそこ、舐めてるの?汚い!あ!拡げられる。


「直美、もう、我慢出来ないよ。キミが欲しい」と彼が言う。私は十数時間前から欲しかったんです。私だって我慢出来ないわよ。早く挿れて。ミキちゃんが私のあそこから離れて、床に膝をつけて、ベッドの端から見ている。うわぁ、誰かに見られて、セックスするのって、初めて!当たり前だよね!と、彼に脚を拡げさせられて、彼のが私の中に・・・


「おお!すごいよ、直美さん。直美さんの白いねっとりしたのが明彦のにまとわりついてるよ。突起も充血してピンクになっている」ダ、ダメ!そんな間近で見て感想を言っちゃダメ!「明彦、上体をのけぞらせてみて」と言う。彼が背をそらすと、ミキちゃんが彼と私の間に割り込んだ。


 ミキちゃんが彼のが出し入れされている私のアソコ、クリを舐める。彼のも舐めているみたい。何、これ?これが三人でするってことなの?


 彼女が乳首を触ってる。明彦のがゆっくり出し入れされてる。私のお腹が痙攣しているのをミキちゃんが押さえている。おおお!負けるもんか!私もミキちゃんがお尻を私の頭の方に突き出しているので、指で彼女のを掻き回してやった。指を二本、挿れて、曲げて、Gスポットをズリズリしてやる。彼女のお尻がブルンブルン震える。


 でも、うわぁ、これ、ダメ。明彦とミキちゃんと二人に攻められて「逝く」って言っちゃった。逝ってるもん。「逝く、逝く、逝く・・・」ちょっとぉ、私、逝ってるんですけど?なんで、止めないの?明彦はなんで逝かないの?あ!そうか!ミキちゃん、長くて何度もって言ってたっけ。おおお、気持ちが良すぎて、気が狂いそうだよ。


 ミキちゃんが体の向きを変えて、私の口に吸い付いてくる。二人で抱き合って、唇を貪り合う。もう、彼のは私の中でいっぱいになってる。彼のを締め付けているのがわかった。ギュウギュウと逃さないように、私の頭に関係なく、締め付けてる。「ウウウウ」と彼が言って、熱いのがいっぱい注がれてる。お~、すごい!すごい、幸福だ!


 三人でハァハァいって体を離した。


「あ!あ!」とミキちゃんが言う。「え?何?」と聞くと、「0.01ミリ、忘れちゃったじゃない!直美さん、安全日?」と聞かれた。ちょっと考えた。あれ?あれ?


「き、危険日だった!」
「あ~あ、もう、妊娠しちゃって、明彦にもらってもらう他はないわね。そして、私は第二夫人❤❤❤。直美さん、二人でバカスカ明彦の子を産んじゃって、少子化を食い止めよう!」


第10章

● 明彦のオファー


 直美さんはまだハァハァ言っている。その横で、明彦も寝転がって、息を喘がせている。私はって言うと余裕だけどね。サブで参加しただけだもん。でも、セミダブル、三人って狭いわ。


 私はベッドの逆側に回って明彦のをイタズラしてやった。おおお!直美さんのと彼のがベットリ付いている。ベットベトだね。キレイにしてあげましょう。とお口に含む。直美さんのと彼の体液の味がする。彼のはフェリーの中で味わいましたが、直美さんのはお初です。私ったら、大胆。ま、AVビデオとか小説で学んだ知識だけど、実際、やっちゃうなんて、私ってはしたない。


 しばらく、舐めたりこすったりさすったりしていたら、お!ムクムクしだした。フェリーの中であれだけやって、直美さんにもあんなにしたのに、オジサン、強いじゃん!彼、唸ってるね?可愛い子がお口でキレイキレイにしてやってるんだよ。お~、固くなった。では、挿れてみよう。


 私は「明彦、今度は私だよ」と彼にまたがった。フェリーで経験済みだけど、これはこれでいいね。腰を落としていった。ズブズブ入るじゃない?根本まで入った。口から飛び出そうだよ。


 明彦が私の胸をサワサワする。「明彦、ちょっと乱暴にしてもいいよ」と言ったら、乳首を捻られた。う~、体の芯までゾクゾクする。直美さんも回復したみたい。私にキスしてきて、私と彼の接合部を触る。クリを擦られる。攻守交代?さっきと逆だわ。


 直美さんが立ち上がって、彼の頭に腰を落とした。お姉さま、大胆になっちゃって。彼にあそこを舐めさせるんですか?彼にチュウチュウ吸われてうっとりしてる。また、私にキスしてくる。


 三人って、癖になりそう。


 フェリーの中と同じになった。セックス 👉 シャワー 👉 酒を飲む、何か食べる、 👉 セックス 👉 シャワー 👉 酒を飲む、 👉 セックス 👉 シャワー 👉 酒を飲む、 👉 セックス 👉 シャワー 👉 酒を飲む・・・何度したんだろう?


 寝たのは、午前1時頃だった。三人とも、これ以上やったら死んでしまうと思った。特に、明彦はさすがにタフだが、溜まっている35才と23才と相手にこれだけやったら、彼、死ぬね?


 私もアソコがヒリヒリしてる。もちろん、明彦と直美さんの回数のほうが多かった。だってさ、フェリーの中であれだけやったんだから、私のアソコは腫れ上がってるのよ。たぶん、1週間はガニ股だよ。


 私と直美さんが同じベッド。明彦は別のベッドで横になった。


 明彦に「フェリーで『明日、空港にお見送りに行きたい!』って言ったじゃん?今日になったけど。関空でしょ?お見送りに行ってもいい?」と聞いた。「ああ、一緒に行こう」「直美さんは?」「私も行きたい」「じゃあ、三人で空港に行こうね」


「なんか、帰り辛いなあ・・・」
「おおお!それ、それ!良い!後ろ髪、バンバン引かれるでしょう?なにせ、35才の美女と23才の可愛い子ちゃんとのお別れだからね」
「ミキちゃんは、大学時代の専攻はなんだったの?」
「え?唐突に何?あのね、経済学部でマーケッティングを専攻してたよ。DV野郎の同棲相手がいたから、就職しなかったんだけどね。意外と成績、よかったんだよ」


「う~ん、そうか。今、香港とかシンガポールは、中国系の金余りで、現代美術への投資が盛んなんだ。画廊とか、いっぱいあって、オークション、ネット販売が盛り上がっている。市場は急成長している。日本人の新進気鋭の画家とか彫刻家の作品も飛ぶように売れている。直美が美術鑑定が本来の専門だったら、どうかなあ、日本なんかで買い付けて、香港、シンガポールに出品して、オークション、ネット販売をするというビジネスは?ミキちゃんも、直美に習って、美術品の目利きを学んで、マーケッティングを担当する、という商売は?」


 直美さんが起き上がった。「明彦、それ、冗談?」と聞く。真顔だ。


「いや、私もその方面にはコネが多少あるから、どうビジネスを立ち上げるかはわかるし、助けてくれる香港、シンガの知り合いもいる。最初期は、私が資本を出して、立ち上げてもいい」
「明彦、私も多少の貯金は持ってます」と直美さん。
「なるほど。小倉でもどこでもいいが、女性の起業は政府の補助金も付くから、まず会社登録をして、ミキちゃんを雇って、オフィスを借りる。それで、日本のまだ有名じゃない美術家を発掘していって、海外で売るというのはどうだろう?日本の画廊もまわってね。買付をしていく」
「明彦、私、やりたい」
「ミキちゃんは?」
「プーしててもしょうがないし、ママがバーを辞めちゃうんなら、私もママについていく」
「トライしてみるか?」
「うん。ハイ」と直美さんと二人で頷いた。


 え~、なんか、運命の神様の前髪を掴んだの?私たち?「運命の神様が通り過ぎたのを前髪を掴んで引き止めたの?私たち?」


「まだ、わからないけどね。やる気があるなら、可能だと思うよ」
「やります!」と直美さん。
「あの、明彦、それって、これからも両手に花をしたいのね?直美さんと結婚するの?」


「おいおい、一昨日会ったばかりで、お互い、まだ何も知らないじゃないか?でもね、ミキちゃんの言うように、『俺の女』とか『私の男』という所有物、被所有物関係は、私もイヤだ。でも、経済的な頼る、頼られるという関係では、意識としてそういうのが生まれるだろう?だから、直美も美雪も経済的な自立をして、それから、考えようじゃないか?もちろん、第一夫人、第二夫人でも私は一向にかまわないが、寿命が短くなりそうだ」


「やった!その考え、好き!じゃあね、じゃあね、直美さんと違って、提供する知識があるわけじゃないから、私は、このピチピチの体でご奉仕いたします、旦那様」
「・・・それ、ご奉仕を明彦にさせる、ってことじゃないの?」と直美さん。
「そうとも、言えるかな?」
「とにかく、一旦戻って、準備しよう。メールなんかで、ビジネスプランをやりとりすれば、結構早く立ち上げられるかもしれない。進んだら、また小倉に行くよ」


● 関西国際空港
 目が覚めた。何時だろう?ありゃ、まだ5時ちょっと過ぎだ。直美さんは私の隣でスヤスヤ寝ている。明彦はって言うと、部屋にあった革の表紙の本を見ている。私が体にタオルと巻き付けて「明彦、おはようございます」と彼の後ろから挨拶して、本を覗き込む。ホテルの案内だった。


「ミキちゃん、オハヨウ。ちょうどいい。朝食はビュッフェでいいかな?」とレストラン&バーのページを指差す。
「うん、お腹がすいたよ」
「ビュッフェは7時に開くから、まだ時間がある。私の飛行機の便の出発時間は11時だから、8時過ぎにホテルを出ればいい。7時までシャワーを浴びてパッキングすれば余裕だ」
「まだ、2時間ぐらいあるね?」
「ああ、カイロス神の前髪を掴むほど焦らなくていい」
「ふ~ん、もう1回しようか?」
「ミキちゃん、もう無理とか言ってたよね?」
「回復しました!」
「やれやれ」


 ベッドのブランケットがもこもこして、直美さんが毛布の下から顔を出した。「聞いたよ、ミキちゃん、抜け駆けはよくない!」と寝ぼけ顔で言う。なんだ、直美さん、起きてたの。


「直美さん、寝てたから」
「私が寝てたら、横のベッドでアンアンしてたの?ミキちゃん、声が大きいから寝てても起きるわよ」
「でもさ、直美さん、ずいぶん攻められてたから、もう十分でしょ?」
「回復しました!」
「私の体は考慮対象外なんだね?」と明彦。
「今回は、これで最後の機会よ!もったいないと思わない?」と私。


 今回はこれで最後の言葉が効いたわ。二人ともやる気になった。もちろん私も。たっぷりと絡み合った。お~、35才の二人も元気だわ。私相手よりも直美さん相手の方がじっくり攻められている。ちょっと嫉妬した。


 バスタブにお湯をためて、私と直美さんは二人で入浴。その間、彼は荷物をパッキング。バスルームから出ると、明彦は下着と着替えの服だけを残して、スーツケースに詰め込んでいた。私と直美さんはたいして荷物がないからね。明彦はウィスキーを飲んでいた。


「朝酒ですか?」と直美さん。
「荷物になるから、飲んじゃわないとね」
「私もいただけます?」と直美さん。濡れた髪の毛が艶っぽい。明彦がグラスに酒を注ごうとすると「口移しで」って言う。ちょっとぉ、それも抜け駆けだろう?まったりキスしだしたので、「直美さん、ずるいよ。私も」と直美さんを横に押して、私もキスしてやった。あれ?朝酒、おいしいじゃん。


 明彦もシャワーを浴びてさっぱりした。直美さんが部屋にあるサービスのコーヒーを淹れてくれた。なんか、大人の雰囲気。これは良いわあ。見習います。


 明彦が関空から小倉までどうやって帰るの?と聞いた。う~ん?


「フェリーは大阪南港まで戻らないといけない。乗り換えがあまりないルートだと、JR関西空港線で新大阪まで行って、新幹線で小倉駅まで行くのが一番カンタンで楽だよ」と言う。
「あ!それにします」と私と直美さん。
「私のシンガ行きの便のDepatureが11時だから・・・12:14分発の特急はるか22号で新大阪まで行って、13:05分新大阪着になる。13:18分の山陽新幹線さくら583号で博多駅着が15:57分。これが最短だね」とiPadの画面を見せた。あら?結構早いのね?


 彼が部屋の電話でフロントに連絡して、チケットをホテルに取ってもらった。直美さんが「明彦、おいくらですか?」と聞いた。「ホテルの支払いと一緒にしたよ」


「悪いわ。私、払います。ミキちゃんの分も」
「私たちのビジネスが成功したら数倍にして返してもらおうね」
「え~」
「出世払いということで」
「あ!私、今、私の体で払います!」と私。直美さんに頭をポカリされた。「乗り遅れるでしょ?体で払うのは、また今度よ」と言われた。確かに、仰るとおりです。


 7時にラウンジに行くとビュッフェの用意が出来ていた。小倉の漫画喫茶の近くで食べるファストフードとは違うね?お寿司も天ぷらもお稲荷さんも朝からあるのは感激だ。私がバクバク食べるのを直美さんが呆れてみている。あら?普段は直美さんだって同じでしょ?


 チェックアウトして、大阪駅(梅田)まではリーガロイヤルホテルのシャトルバスで向かった。駅から関空まではリムジンバスで1時間ちょっとだった。梅田から空港まで阪神高速湾岸線を通る。


 第一ターミナルのチェックインカウンターで明彦がボーディングパスを受け取った。成田や羽田、福岡と違って、丸屋根がまっすぐの関空の本館ビルには展望台がない。チェッ。キョロキョロしていると、おおお!あの柱の陰なら人から見えないぞ!私は、二人の手を引っ張った。「どこ行くのよ」と直美さんが言う。「いいから、いいから」


「ほら、この柱の陰ならひと目につかないわ。キスしよ!直美さん、先にしていいよ」と言う。照れるな、二人とも。私も!ネットリ舌を絡めてやった。へへへ。


 時間になって、明彦が本館三階の出国審査場に行った。振り返って手を振る。バイバイ。あ~、なんて3日間だったんだろう?


「行っちゃったね・・・」と直美さんがポツリと言う。
「うん」と私。
「季節外れのサンタクロース」
「彼、そうだったかもしれない」


「さあ、小倉に戻ろうか?」
「うん・・・なんか、寂しいね」
「いいえ、私たち、やることがあるじゃない?」
「そうだよね・・・ねえ、直美さん?」
「なに?」
「彼がいない間、寂しくなっても、私がいるから、なぐさめてあげる」
「あなた、レズじゃないって言ったでしょ?」
「レズって、対象は女性全般でしょ?私は、直美さん限定の同性愛だよ。目覚めちゃった」
「やれやれ」


「あ!そうだ!小倉に帰ったらまず一番にすること!」
「何?」
「一番に、私もそうだけど、産婦人科に行って、アフターピルを処方してもらわないと!ねえ、0.01ミリ、余っちゃたよ!」
「あ!そうだった!ミキちゃんは安全日って言ってたね?私、超危険日じゃない!!」
「直美さん、ビジネス始めるのに妊娠したら困るでしょ?」
「ハハハ、そりゃそうだ・・・ねえ、でも、妊娠してたら、彼、責任取ってくれると思う?」
「ダメよ!子供で第一夫人の座を奪おうとしても!」
「どっかの政党のおばさんが言っていたじゃない?二番じゃダメなんですかって。年上に譲りなさい!」
「そういう問題?」
「そうです!」


「ところでさ、彼の会社ってなんなの?」
「あれ?名刺、もらったわね。よく見なかったわよ。電話番号書いてくれたし、私のスマホに電話したんで、変な人じゃないと信じちゃったの」
「ちゃんとした会社員って言ってたじゃない?」
「だって、スリランカからの出張だって聞いたし、てっきり一部上場かなにかの会社員と思いこんでいたけど・・・」
「もらった名刺、持ってる?」
「お財布にしまった。ちょっと待ってね・・・え~っと、これだな・・・え?え?え?」


「何なの?見せてよ」
「・・・うん、これ」
「え?」