フランク・ロイドのブログ

フランク・ロイドの徒然

薫と明彦、エピソード Ⅱ

薫と明彦、エピソード Ⅱ

 ぼくはエレベーターの壁に手をつき、カオルを見下ろして言った。「まだ、気が変わらないか?帰ってもいいんだよ。送っていくよ」とカオルに行った。ハンカチで鼻を拭いていたカオルは、「気なんか変わらない。早くチェックインして、部屋に行って抱いてよ」と言う。エレベーターがぼくらの部屋の階に止まった。


「それなら、じゃあ、行こうか?」と、ぼくが言った。

「え?チェックインは?」と彼女が訊くので、ぼくはポケットからキーを取り出し、空中でジャラジャラさせた。


 ドアを開ける。「さ、お嬢さん、お先に。抱きかかえて入らないからね?新婚旅行じゃないんだから」と部屋に入った。部屋に入って、ぼくはルームサービスに白ワインを注文した。ワインはワインクーラーに入れられてすぐ来た。でも、まだ冷えていない。


 ぼくは、なんで泣いていたんだ?と訊いたが、カオルは「後で、説明する。とにかく抱いて」と言った。カオルは、ベッドに腰をかけていた。ぼくはカオルの横に座った。