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奴隷商人 Ⅲ 第18章 ●奴隷商人16、紀元前47年


奴隷商人 Ⅲ
第18章 ●奴隷商人16、紀元前47年

「・・・アイリス、お前の、ベータの完全体のプローブユニットはどこにいる?」

「クレオパトラ7世の体におります」


「アイリス、ベータの完全体のプローブユニットは、クレオパトラ7世の体にいつ入り込んだのだ?」

「クレオパトラ6世が死ぬ直前です」

「・・・つまり、6世の時にベータの完全体のプローブユニットは転移して、7世に引き継がれたということだな?」

「いいえ、ベータの完全体のプローブユニットは、紀元前190年、クレオパトラ1世が14歳の時に彼女の体に転移しました。女王になってから3年後のことです。彼女の父はシリア王アンティオコス3世、母はラオディケ3世です。セレウコス朝シリアがエジプト領土に侵攻して、ローマの仲裁で停戦、アンティオコス3世の娘のクレオパトラ1世は、コイレ・シリアなどを持参金にして、プトレマイオス5世と結婚しました」


 俺と絵美は顔を見合わせた。紀元前190年には、俺らのような知性体、ベータがこの世界に飛来していて、そのプローブユニットが約140年前から、エジプト王国の女王の体にあった。それが140年間受け継がれていた、ということだ。


 つまり、140年も時間があって、エジプト女王の地位にあるなら、俺と絵美が今やっているような未来の科学技術を使ったさまざまなことができる。そして、俺と違い、時空軸の改変など気にしないなら・・・


 俺は寝室から持ってきたアヌビスの頭部から出たガラス球をアイリスに見せた。「アイリス、これを知っているか?」


「ムラー様、それは半神半獣のコントロールユニットだと思います」