直美とミキ Ⅲ
直美とミキ Ⅲ
原田先生のマンションは、北九州小倉市南区から北区を流れる紫川沿いの高層マンションだった。バーから歩いてもちょっとの場所だ。私のマンションも近くで、私のより数段上だな。キャッシュで買ったんだそうだ。リッチだなあ。
エレベーターで彼女の部屋のある14階にあがった。
部屋に入って驚いた。トイレ兼用のバス、作り付けのクローゼット以外、間仕切りがない。7 x 9メートルくらいの部屋が玄関から窓まで遮るものがないのだ。窓際にベッドがあり、そこだけ、天井のレールからたれているカーテンで仕切られるようになっている。私、寝相が悪いから、セミダブルを二台連結して使っているのよ、と節子が言う。私の部屋の1.5倍くらい?改築して、こうしたのだそうだ。モダンだね。
キッチンはオープンで、アイランドの流しになっている。右の壁面は書棚でいっぱい。医学書などがある。左の壁面は、ビッシリと絵画が飾ってある。壁面の照明と天井からの照明が考えて配置してある。
0号の小品もあれば、20号くらいのもある。大きいものはクローゼットにしまってあるそうだ。油絵、銅版画、水彩まちまちだが、絵の色彩を考えて補色同士で並べてある。
拝見していいですか?と聞いて、壁面に近づいた。
ほとんどが戦後の作品のようだ。日本人のものもあれば、イギリスのものもある。ほほぉ、これは今人気上昇中の新進気鋭の作品じゃないの?数年前は数十万円だったけど、今は百万円を超えているはず。節子、お目が高いわね。そのことを節子に言うと、さすが直美、それ、めっけものなのよ。5年前に買ったんだけどという。東京の画廊でみかけて、衝動買いしたそうだ。
ひと通り見てダイニングを振り返ると、おいおい、節子もミキちゃんも酒盛りしてるじゃないか!まだ、飲むのかよ!バーで、だいぶ飲んだじゃないの?
「あら、直美もこっちに座って飲もうよ」と節子が自分の隣りのチェアを指さして言う。目がトロンとなってる。仕方ない。私もお相伴にあずかる。グレンリベットのコルクをキュッとあけて、ロックグラスに注いだ。ちょっとだけ、と思ったら、節子が瓶の底をもちあげて、ドボドボついでしまう。こ、この酔っ払いめ~!
ミキちゃんが「節子さん、手相を見てあげるね」なんて言って、彼女の両手の手のひらをなぞっている。おい!23才の小娘に手のひらをさすられて、気持ちよさそうになってるじゃないか!嫌な予感がする!
「ああ~、節子さん、異性との出会いが悪い相だよぉ~」
「やっぱり、そうなんだ」
「同性との相性はいいみたいだよ」こ、小娘!う、ウソをつけ!ウソを!手相でそんなことわかるわけがない!
「そうなんだあ~。私、直美とミキちゃんと相性がいいかもしれないと思うのよ」変なことを言うな!「ねえ、私、眠くなってきちゃった。二人とも、泊まっていかない?」ああ、言うと思った。
「ねえ、いいでしょう?こんな広い部屋で一人寝は寂しい。ベッドも広いし、三人で川の字で寝られるでしょう?」自分がこの広い部屋を買ったんじゃないか!
「そうね、節子お姉さま」お姉さまが出るとこの小娘はヤバい!「ねえ、直美お姉さま、泊まっていきましょうよ」
「いや、私は、絵も見たことだし、帰ろうかなと・・・」
「あら、直美、絵の鑑定を聞いてないわよ?ベッドで説明してくれないこと?」と腰をガッシリと掴まれる。太腿を擦られる。あ~、先週からこんなことばっかじゃない!
「そうよぉ、直美さん、ベッドに行こう。ミキ、眠くなっちゃったよ」
「ミキちゃん、ベッドに行けば。パジャマは・・・」と節子。
「ミキ、パジャマ、要らないもん」
「そう。じゃあ、お休みぃ~」
先週まで、ご無沙汰続きだったのに、なんなの?
明彦、助けてください!・・・国際電話、彼にかけようかしら?あなたの直美がまた蹂躙されるのよ!
続きは、直美とミキ Ⅲ
直美とミキ Ⅰ
●関西国際空港
●新幹線
●直美のマンション、小倉
直美とミキ Ⅱ
●原田先生
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19033429#2
直美とミキ Ⅲ
●節子のマンション 1
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ミキと明彦 Ⅰ
●小倉のバー
ミキと明彦 Ⅱ 2ページへ
●海上
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19007253#2
ミキと明彦 Ⅲ 3ページへ
●直美のバー
●スイートルーム1
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ミキと明彦 Ⅳ 4ページへ
●バスの車内
●スイートルーム2
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ミキと明彦 Ⅴ 5ページへ
●大阪南港
●大阪のホテルへ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19007253#5
ミキと明彦 Ⅵ 6ページへ
●またスイートルーム!1
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19007253#6
ミキと明彦 Ⅶ 7ページへ
●またスイートルーム!2
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19007253#7
ミキと明彦 Ⅷ 8ページへ
●関西国際空港
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19007253#8
A piece of rum raisin - 単品集
アイーシャとアキヒコ
メグミとアキヒコ、エピソード Ⅰ
メグミとアキヒコ、エピソード Ⅱ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18849084#2
メグミとアキヒコ、エピソード Ⅲ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18849084#3
恭子と明彦、エピソード Ⅰ
恭子と明彦、エピソード Ⅱ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18928268#2
恭子と明彦、エピソード Ⅲ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18928268#3
恭子と明彦、エピソード Ⅳ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18928268#4
薫と明彦、エピソード Ⅰ
薫と明彦、エピソード Ⅱ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18935781#2
薫と明彦、エピソード Ⅲ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18935781#3
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