フランク・ロイドのブログ

フランク・ロイドの徒然

ヒメと明彦 第2章、ヒメと明彦 Ⅴ

ヒメと明彦 第2章
ヒメと明彦 Ⅴ

登場人物

宮部明彦    :理系大学物理学科の1年生、美術部。横浜出身
仲里美姫    :明彦の高校同期の妹、横浜の女子校の3年生
高橋良子    :美姫の高校の同級生
生田さん    :明彦のアパートの大家、布団屋さん

小森雅子    :理系大学化学科の学生、美術部。京都出身、
         実家は和紙問屋、明彦の別れた恋人
田中美佐子   :外資系サラリーマンの妻。哲学科出身

加藤恵美    :明彦の大学の近くの文系学生、心理学科専攻
杉田真理子   :明彦の大学の近くの文系学生、哲学専攻

森絵美     :文系大学心理学科の学生
島津洋子    :新潟出身の弁護士

清美      :明彦と同じ理系大学化学科の学生、美術部

1976年3月19日(金)
 ●押しかけ同棲

 千駄ヶ谷の駅からヒメのボストンバックをヒィヒィ言って持って部屋に戻った。こいつ、京浜東北線から東京駅で乗り換えて、御茶ノ水で乗り換えて、千駄ヶ谷までよく担いできたよな、と思った。これは鍋と食材なんかが重いんだろうなあ。

 ヒメは早速ボストンバックを開いて中身を取り出す。ハンガーがないじゃん!と文句を言う。ハンガーをもっと買うのか?とぼくの服を外して、ハンガーを渡した。こりゃあ、ビニールの安いタンスを買わないとダメだな。それとヒメの下着をしまう何かを。

 ねえ、見てみて、とパンツをぼくに見せる。ハイハイ。ぼくがバイト代が入った時一緒に買ったパンツが多い。いつまでもコットンの白のパンツじゃダメだろ?と言ったら、じゃあ、一緒に買いに行ってよとデパートの下着売り場に連れて行かれた。1976年だよ。下着売り場に男性なんかいないよ。

 濃紺のハイレグとお揃いのブラだとか、1週間でどれだけパンツを履き替えるんだ?と思った。ほら、生理も近いから生理ショーツも持ってきたと見せる。見せないでよろしい。エプロンまで持ってきている。ヒメ、絶対に全部の服は持ち帰らないだろうなあ、と思った。

 鍋にお玉、ステンレスのざるも持ってきていた。これが重かったんだな。ま、これはちょうどいい。カレーを作るのにソースパンがなかったのだ。ざるがあればスパゲッティーもできる。一緒に食器を買ったので、何が足りないか、ヒメは知っている。食器は、夫婦茶碗と箸なんてのを買わされたのであるのだ。食材は乾物を持ってきたみたいだ。味噌もある。

「ねえ、明彦、お食事にする?お風呂?それとも、私?」と上目遣いで聞く。もう発情しているのか?初めてセックスしてから、7ヶ月。ヒメの性欲は増すばかり。女子高生ってみんなこうなのだろうか?
「ヒメ、食事、風呂、ヒメの他にはないのか?」
「え?それだけでしょ?」と言うので、ボストンバックから2年と3年の数学の教科書を取り出して見せた。
「それはねえ、見たくないの。でも、明彦が可愛がってくれたら、少し見てもいいかな?なんて思っちゃたりする・・・」
「やれやれ・・・春休みの終わりまでいるつもりなんだろ?」
「春休みが明けてもいてもいいよ。早起きすれば、こっから横浜まで通えるわ。友達の中にも東京から通っている子もいるもん」
「『春休みが明けてもいてもいい』って、あのさ、ぼくには大学の授業もバイトもあるんだよ?」
「そう、知ってる。それでね、私は高校が終わったら、ここに帰って、夕食を作って待ってるのよ」
「それ、ダメでしょ?」
「あら?ママは同棲しちゃえばって言ったし、パパは結婚しちゃえばって言ったわ」
「キミの家はおかしい!」
「だって、監視していないと、明彦が可愛い女子大生をこの部屋に連れ込むかもしれないでしょ?」
「ヒメがいるんだから、ぼくはそんなことはしません!」
「ほら、私がここにいるんだから、なんでしょ?」
「違います!ヒメという彼女がいるんだから、浮気はしませんってことです。ヒメがここに住むんだから、という意味ではない!」

「哀れな女子高生を追い出すのね?いいわよ。見知らぬ人についてっちゃうから」
「勘弁してくれ!春休みが終わっても、いつでもここに来ていいから。でも、ずっといるとか止めよう。ぼくだって、ホテルのバーの仕事じゃ、ホテルに泊まってここに帰ってこない日がある。キミだけだと物騒だろ?ぼくがいる日は泊まってもいい。できるだけ、土日にして欲しいけど。カメラマンの手伝いのスタジオとか絵のアトリエとか、一緒についてきてもいいからさ」
「まあ、それならいいかな?明彦ができるだけ私と一緒にいたいというなら、それで許す。その代わり、もうすぐ高校3年生になる女子高生の体をむさぼってもいいわよ。スキンだって4ダースあるんだし」

ヒメと明彦 Ⅴ に続く。