フランク・ロイドのブログ

フランク・ロイドの徒然

よこはま物語、ヒメと明彦5、芳芳編、ヒメと明彦 XXIII

よこはま物語
ヒメと明彦5、芳芳編
ヒメと明彦 XXIII

登場人物

宮部明彦    :理系大学物理学科の1年生、横浜出身
仲里美姫    :明彦の高校同期の妹、横浜の女子校の3年生
高橋良子    :美姫の高校の同級生
生田さん    :明彦のアパートの大家、布団屋さん
坂下優子    :美姫と良子の同級生


張本芳子    :良子の小学校の同級生、中華系帰化人の娘、
         張芳芳(ファンファン)
林田達夫    :中華街の大手中華料理屋の社長の長男
吉村刑事    :神奈川県警加賀町警察署所轄刑事


小森雅子    :理系大学化学科の学生、美術部。京都出身、
         実家は和紙問屋、明彦の別れた恋人
吉田万里子   :理系大学化学科の1年生、雅子の後輩、美術部
内藤くん    :雅子の同期、美術部、万里子のBF
田中美佐子   :外資系サラリーマンの妻。哲学科出身


加藤恵美    :明彦の大学の近くの文系学生、心理学科専攻
杉田真理子   :明彦の大学の近くの文系学生、哲学専攻


森絵美     :文系大学心理学科の学生
島津洋子    :新潟出身の弁護士


清美      :明彦と同じ理系大学化学科の学生、美術部

ヒメと明彦 XXIII

 1977年7月14日(木)
 ●芳子の捜索 Ⅱ


 俺たちは加賀町警察署前を行き過ぎ、長安道から出て、T字路でタクシーを捕まえた。ラブホってわけにも行かないよなと俺は思って、大桟橋ちかくのホテル名を言った。芳子が運ちゃんに聞こえないように、ラブホで良いのにと言う。時間に追われるのは嫌いだ。帰りは何時でも芳子を送っていくから、心配しないで、と答えた。その答えが気に入ったのか、芳子がギュッと俺の腕を抱きしめて胸を擦り付けてくる。股間にドンッと血液が流入した。


 ダブルの部屋にチェックインした。ラブホて何をしているんだかわからない男女のすえた臭いはいただけない。俺たちもこれから何をしているんだかわからん行為をするにしてもだ。芳子が先にシャワーを浴びて、すぐ出てきた。タオルを体に巻き付けて、髪の毛をアップにしている。スッピンでも可愛い子だ。


 俺も続けてシャワーを浴びる。シャワーを出ると、ベッドに放り投げていた上着がハンガーにかけられてクローゼットにしまわれていた。ズボンも下着も丁寧にたたまれていた。芳子はベッドに潜り込んでいて、目から上だけをブランケットからのぞかせて、浩司、ちょっと恥ずかしいね、と言う。


 彼女はセックスがうまかった。初めてで(会ったのが2時間前くらいだ!)積極的だった。仰向けになっていた俺にねっとりとしたキスをしてきた。彼女は毛布をはいでしまう。体中を愛撫された。俺のあれを躊躇なく口に含んで、すすりだす。俺も彼女のお尻を向けさせてあそこを舐め回した。二人とも我慢できなくなった。浩司、上になる?下になる?私、下になると言うので正常位でした。


 一回では満足できなかった。出してもまだできた。間をおかずに三回してしまった。二人でゼィゼィ息を切らした。芳子はうつ伏せで、枕を抱えて満足そうに俺を見た。チェシャ猫が秘密を知ってゴロゴロ喉を鳴らしているようだ。改めて見ると、芳子は年齢不詳だ。大人びても見える。子供っぽくも見える。芳子は膝を曲げて脚をバタバタさせている。そこで俺は気づいた。


「芳子、避妊しなかったよ」
「あら、私、妊娠しちゃうの?」
「他人事みたいに言うもんじゃない」
「浩司、私が妊娠したらどうする?堕ろす?産む?」
「わかんないぜ」
「浩司の赤ちゃん、欲しいな。一人、ひっそり、産んじゃおうかしら?」
「そりゃ、ダメだ。責任を取らないといけない」
「冗談よ、冗談。米軍のドラッグストアでピルが手に入るから、妊娠はしないわ」
「・・・それは・・・」


 芳子が上半身を起こして、俺の方を向いた。「それよりさ、浩司。私たち、大失敗したんだよ」と言う。何が?大失敗?


「さっき、シャワーを終わって、浩司のジャケットをクローゼットにしまおうとしたの。そうしたら、内ポケットから手帳が落ちそうになったんだ、拾っちゃったんだよ」あ!警察手帳。「それで、見たら警察手帳じゃない。上田さん、じゃない、吉村警部補」
「今さら取り繕っても仕方がない。俺は加賀町署の刑事なんだよ。しかし、それにしても、警察手帳見た段階で逃げちゃうなりすればよかったじゃないか?」
「うん、浩司が刑事だったのを責めるつもりはないわ。知らなかったけど、私から誘ったんだし。逃げちゃう?まさか?せっかくのおいしそうなセックスの機会を?まさか!・・・でもね、私の名前」
「名前?」
「私の名前は、張本芳子。偽名じゃないよ。だけど、もう一つ名前があるんだ。張芳芳(ファンファン)。帰化した日本国籍の中国人。それでさ、中国名の名字が『張』でしょ?」
「『張』?まさか?」
「そうなの。加賀町署となかよしの『張』なのよ、私」
「・・・」


「それからね、もう一つ。浩司は私の年齢を確認しなかったけどね、私も言わなかったけど」
「な、何才なんだ?」
「横浜女学院ってあるでしょ?私、あそこに通ってるんだ。18才だよ」
「あ~」
「お互い、今さら、うめいたって遅いね。あ~、なんて遅い。浩司、吉村刑事、あなたは、中国マフィアの家の未成年の娘とセックスしちゃったんだよ」
「ああ~」
「心配しないでよ。脅迫とかしないから。私から誘ったのよ。でも、事実として、高校3年生のマフィアの家の女子高生とセックスした警察官ってのは残るわね?」
「芳子・・・俺はどうしたら?」
「そうね、どうしましょ?大失敗だね?お互い?」
「芳子がフォーマルな服装で酒を飲んでいるし、てっきり・・・」
「年齢、間違えちゃった?今日は同級生のお葬式でああいう格好をしてたんだよ。だから、ちょっと大人っぽく見えた?仲のいいお友だちだった。それで寂しくって、隣にカッコいい男がいたから、思わず二人っきりなんてね、言っちゃったの」
「あ~あ」
「起こっちゃった事象は取り返せないんだよ。シーザーも言ってる。『賽は投げられた』って」
「芳子、シーザーは自分でサイコロを投げたんだ。サイコロで遊んでいたら、思わず運命のサイコロを落っことして、サイコロの目が出た、って話じゃない」


「まあ、どうでもいいじゃん?浩司」
「芳子・・・」
「芳子は止めよう。ファンファンと呼んで。みんなそう呼ぶの。それで、浩司、どうしよう?って顔中、それになってるけど、どうするって、もっと私を抱くのよ。一回しちゃったんだから、もう何回しても関係ないでしょ?朝まで、女子高生の体をむさぼればいいのよ」
「・・・」
「浩司とは気が合う。体の相性もバッチリだったじゃない?まったく、私が純粋な日本人で、カタギの生まれだったら、浩司にお嫁にもらって欲しいくらい。でもね、刑事とマフィアの娘じゃねえ。あ!言っておきますけど、『張』の家のビジネスはビジネスとして、私自身は関係ありませんからね。普通のカタギの女子高生ですからね」
「普通の女子高生であっても俺にとっては問題だろ?」
「私たち、二人の秘密にしておけばいいことよ。誰にも言わない。時々、女子高生の体を浩司がむさぼる。どう?」
「そんなことはできん」
「あれえ?こんなにまたカチンカチンになっちゃって、『できん』とか説得力ないなあ。ね、今度は私が上ね」

ヒメと明彦5、芳芳編、ヒメと明彦 XXIII に続く。