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よこはま物語、ヒメと明彦10、恵子・永福と久美子編、ヒメと明彦 XXXXXIII

ヒメと明彦 XXXXXII からの続き。

よこはま物語
ヒメと明彦10、恵子・永福と久美子編

ヒメと明彦 XXXXXIII
 1977年7月23日(土)
 ●後藤恵子 XIV

三人で一緒の部屋で泊まっちゃうのって、どう?

 タクシーに乗った。どっと疲れた。永福によりかかった。彼の耳元で囁く。


「ねえ、永福、あなた、私ばっかり男関係があって、あなたが私しか知らないって不公平よね?」
「俺は、レイニーだけで十分だ」
「ねえ、神戸に戻ったら、慶子を呼び出して、三人でセックスしない?隠れてされるのはイヤだけど、私の前で、あなたと慶子とだったら、してもいいかもしれない」
「おいおい・・・」
「いいわよぉ~。私と慶子がするのも見せてあげるから。彼女なら、後腐れなくできそうよ?」
「・・・レイニー、本気か?バカなことを言うな!」
「本気。永福が慶子を抱いたら、私のあなたへの後ろめたさもなくなりそう。それで、私の7年間もチャラ。1回だけ。後は、あなたと私と二人だけ。慶子、いいと思うわ」


「・・・飛行機の中で考える」
「あら、こんなに固くしちゃって。答えは明白ね?」
「・・・」
「興味があるんでしょう?」
「俺はイヤだ」
「たった1回だけ!慶子とのセックスが終わったら、私とあなたの相手は二人だけ!それで、私ばっかり男を体験してきた後ろめたさもなくなると思う。もちろん、慶子がいいって言ってくれたらだけど・・・」
「する約束はできないけど、レイニーがそういうのだったら、斎藤さんをホテルに呼んでもいいよ。それで話しをして、その成り行き次第だ・・・お前、俺が斎藤さんを抱くのを見るんだぞ?お前は大丈夫なのか?」
「どうなんだろう?経験はしてきたけど、1対1だったから、私にとっても3人って初めてなの」
「そらみろ」
「でも、大丈夫だと思うわ」
「まず、斎藤さんに聞くことだな。あっちがイヤだ、ということもある」
「わかった。秋田空港から電話する」
「やれやれ。いい出したら聞かないからな、お前は」
「うん。そういう女だもん」


 久美子の両親との話し合いが意外と簡単に済んだ。途中で、運転手さんも誘って昼食を食べた。時間の余裕はある。秋田空港には3時半に着いた。タクシーの運転手さんには多少の心付けも含めて支払った、恐縮してくれたが、あんな山奥まで行ってくれたのだ。


 秋田空港からの伊丹行きは、最終の18:15発、19:45着だ。空港の公衆電話から慶子に電話をかけた。今日は彼女の勤務日なので、県警に電話した。在席していた。


「慶子、全部済んだわ。久美子の両親から署名、捺印を書類にしてもらった。少々手こずったけど。慶子に聞いた近親婚村そのものだった」
「目に見えるようだわ。村の内情を外に漏らすとか脅したんでしょ?」
「うん、ちょっとね」
「早速、久美子の病院に電話するわ。安心するでしょう。じゃあ、その書類は明日ホテルに取りに・・・」
「あのね、慶子、お願いがあるんだけど。今晩、ホテルで夕食を付き合ってくれない?三人で」
「ハネムーンの邪魔をしたくないなあ」
「あのね・・・それで・・・慶子が私たちの部屋に泊まるって、どう?」
「恵子、あなた、何を言い出すの?」
「・・・だからさあ、三人で一緒の部屋で泊まっちゃうの」
「それがどういう意味か、あなた、わかっているんでしょうね?徐さんだって考えちゃうでしょ?」


「彼は、成り行きだ、って言ってる。渋々だけど」
「私、イヤよ!あなたと徐さんのを見てるなんて!」
「慶子も参加するのでは?あなたが、彼をイヤじゃなければ?」
「・・・何が起こるか、わかっているんでしょうね?」
「想像できるわ。私だって、三人なんて初めてだもん」
「・・・いいわ。ホテルには行く。徐さんの言うように、成り行きよ?」
「うん、それでいい・・・でも、興味、あるんでしょ?慶子?」
「・・・まあ、そうね・・・」
「いいじゃん!私と慶子の仲なんだから。だって、私と慶子もするんだもん」
「・・・それを彼は見てるの?」
「ハイ、そうです!」
「あ~あ、私の警察の同期はいよいよ頭がおかしくなってきたってこと?」
「なんとでもお言いなさい。19:45伊丹着だから、ホテルには9時頃着くわ」
「ハイハイ、恵子はいい出したら聞かないからなあ」
「あなたもそう思うでしょ?お泊りセットを持ってくるのよ」ガチャ。


 タクシーで三宮まで行った。永福がどこに行くんだ?ホテルは山の手だぞ?と言う。あなた、横浜を急いで出たから、下着がないのよ、と答えた。あなたも必要でしょ?まず、ランジェリーショップに行く。俺はこんな店に入ったことがないと抵抗したが、引きずって入った。店員にサイズと好みを説明した。ブラはワイヤレス。色は黒と赤の単色で上下お揃い。店員が見繕って持ってきた。よし、これだ!さっさと試着した。彼を呼ぶ。これどう?と聞くがちゃんと見ない。しょうがない。買った。私の買い物は早い。グズグズしないのだ。


 次に男性の下着屋に行く。永福はブリーフをいつもはいているのが気に入らない。トランクスのパンツを買う。シャツも。着替えは明日ゆっくり買い物しよう。さっさと済ませてまたタクシーに乗る。ここ1週間で、1年分くらいタクシーに乗っている気がした。私は結構倹約家なのだ。

ヒメと明彦 XXXXXIII に続く。