フランク・ロイドのブログ

フランク・ロイドの徒然

シリーズ『フランク・ロイドのヰタ・セクスアリス(Ⅱ)』第一話 清美 Ⅰ

シリーズ『フランク・ロイドのヰタ・セクスアリス(Ⅱ)』

第一話 清美 Ⅰ

まえがき

フランク・ロイドのヰタ・セクスアリス(Ⅰ)(https://www.pixiv.net/novel/series/9167897)の続きの物語。主人公は代わって、マルチバースに登場する宮部明彦。森絵美は続いて登場。(Ⅰ)で登場した杉田真理子と加藤恵とは似ているようでいて、ちょっと違います。

加藤恵は加藤恵美(メグミ)という名前になります。島津洋子も登場して、第1、第2、第3ユニバースの登場人物とかぶります。いわば、第1、第2、第3ユニバースの記憶転移の干渉を受けない宇宙、第4ユニバースという宇宙です。この第4ユニバースで殺害された森絵美の記憶が第2ユニバースの神宮寺奈々(「A piece of rum raisin - 第2ユニバース」/「フランク・ロイド」のシリーズ [pixiv])に転移します。

登場人物

宮部明彦    :理系大学物理学科の2年生、美術部。横浜出身
森絵美     :文系大学心理学科の2年生、明彦の恋人
島津洋子    :新潟出身の弁護士、明彦の愛人
清美      :明彦と同じ理系大学化学科の1年生、美術部


杉田真理子   :明彦の大学の近くの文系学生、大学2年生、哲学科専攻
加藤恵美    :明彦の大学の近くの文系学生、大学2年生、心理学科専攻


小森雅子    :理系大学化学科の3年生、美術部。京都出身、実家は和紙問屋、
         明彦の別れた恋人
田中美佐子   :外資系サラリーマンの妻。哲学科出身

あらすじ

 2月初旬には冬休み前の全部の課程が終わってしまっていて、大学はがらんとしていた。午後4時頃に部室に顔を出してみたが誰もいない。静かでいいやと思ってコーヒー豆を挽き、電熱ヒーターにパーコレーターをセットして、石膏デッサンを始めた。


 この前からマルスを書いている。またいちから書き直そうと思った。陽射しが入ってくるので、カーテンを半ば閉めた。プロポーションと形、光、位置を大まかに描いていく。石膏デッサンは線や輪郭でつかんではいけない。面でとらえないといけないのだ。マルスは兜をかぶった軍神の胸像。兜と胸部の丸みをどう表現しようかいつも悩む。2時間ほど描いた。あまり良いできではない。パーコレーターのコーヒーもなくなってきた。タバコをふかす。


 しばらくボンヤリしていたら部室の扉が開いた。「あれ?明彦さん、いたんですか?」と今年入学した新入生が入ってきた。仙台から出てきた女の子だ。色白でポッチャリしているが、背はぼくよりも5センチほど低いだけ。女の子としては背の高いのを気にしてか多少猫背気味だ。


 父親は仙台の開業医で、千葉にマンションを持っているそうだ。東京に出てくるときにはそのマンションに泊まる。そこに住んでいると言っていた。新入生の歓迎パーティーで彼女がそう言っていた。彼女は理学部・工学部が寄せ集まっている校舎とはちょっと離れた四谷方面に数分歩いた薬学部に在籍している。