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シリーズ『北千住物語』第二章 順子

● シリーズ『北千住物語』第二章 順子


あらすじ


 後藤順子が少し離れたマットレスでひと仕事終わった小川康夫を呼び寄せる。痩せ身のイケメンだ。康夫の横ではもう一人のヤンキーのガタイの大きな浩二が女の子を組み敷いて腰を振っている。もう一人の女の子が力なく横たわっていた。場所は北千住の放置された廃工場だ。


「康夫、こっち来な」順子の制服ははだけている。「なんだい、姐さん、あんたもヤル気になっちまったのか?」と康夫は素っ裸のまま順子の座っているマットレスの隣に腰を下ろした。


「おまえらがやるのを見ていればその気になるわな。ほら、これ食いな」とグミの袋を康夫に渡す。
「姐さん、これ商売物だろ?」
「二つくらい食えばあんたも元気になるだろ?少しだったら大丈夫だよ」


「しかし、姐さんも頭が回るね?ポンプ(注射器の隠語)じゃ体に跡が残るし相手も気づくから、S(スピード、覚醒剤)をグミにポンプで仕込むとわなあ」
「ふん、真面目なお嬢ちゃんにグミやって、そのあと栄養剤って騙して中毒にさせりゃあ、あとは売り(売春)やらせて私に金が入ってくるからね。おい、康夫、あんた、あの子らとやった時にゴムつけたろうね?最近の子は真面目に見えて病気持ちが多いからね。私は梅毒なんてうつされるのはゴメンだよ。康夫、私にはナマな」


「ああ、姐さん、さすがに二人も立て続けはキツイよ」
「何いってんだい、馬並みに腰ふってたくせに」順子は自分でもグミを口に放り込む。
「あの沢尻エリカも言ってたよな?Sやってキメセク(薬物セックス)するのは最高だって」


「悪い女だよ、順子姐さんは」
「私は生真面目な田中美久と違うんだよ。金が大事だよ。おい、康夫、まだおまえダメじゃないか?」
「二人相手に二回ずつ出せば俺だってすぐには元に戻らないぜ」
「しょうがないなあ。私が口でやってやるよ」
「姐さんのおしゃぶりは効くからなあ」


 順子と康夫はこ汚いマットレスの上で絡み合った。向こうのマットレスでは、浩二が一人終わって、康夫がやっていた女の子に取りかかっていた。でかいガタイが女の子におおいかぶさった。


 このグループは、順子と彼女の手下の女三人組が素人の女の子にS入りのグミを食わせては中毒にさせ、康夫のグループに輪姦させて、最後は売りをさせて上納金を集めている。田中美久が総長をやっていた時代とは違っているのだ。


 美久の後釜の新しい総長が順子だった。グループの体質が変わってしまって、美久と節子、紗栄子、佳子の三人組は彼らと距離をおいていた。


「康夫、そこ、そこかき回して」
「姐さん、そんなに締めたらいっちまうよ」
「おお、康夫、きてるぜ、きてる、きてる」と順子が腰をつかった。
「・・・そういやあ、美久と金魚の糞の三人組、真面目になっちまったな?」
「ああ、なんかキレイキレイにしてるぜ」
「あいつら、輪姦しちまうか?」と順子が不気味なことを言った。


「姐さん、しばらくはダメだろ。この前の火曜にウチの下っ端が節子と紗栄子と佳子を拉致って輪姦そうとしてマッポに捕まったばかりだ」
「なんか、美久にのされたって?」
「ああ、美久と連れの彼氏みたいなのにのされてマッポにわたされちまってよ」


「美久は空手だからな。腕っぷしはいいからな。美久には手を出さないようにしよう。節子か紗栄子か佳子をS打ってヘロヘロにさせて、鈍牛の浩二に犯させるか。弱い肉にかぶりつかなきゃな。まあ、ほとぼりが冷めたらジワジワと・・・」ニタっと順子が笑う。


 順子は母親と住んでいるマンションの他に内緒で別のマンションを借りていた。恭子の言うオジサマが保証人になっている。そこで、オジサマやオジサマの友人と称する男に高校生を斡旋するのだ。


 手口は巧妙である。ちょっと見にはただの可愛子ちゃんに見える恭子が、グループがリストアップしたLJK(ラスト女子高生、高3のこと)をお菓子で釣るのだ。リストにはLJKの誕生日が調べられている。それで、その女の子が18才の誕生日を迎える頃、恭子が接触する。つまり、その子は、18歳の誕生日を迎え、高校生でありながら条例に抵触せず合法的にセックスのできる女子高生、『合法JK』となる。


 恭子は、生真面目で進学希望で勉強ばかりしている大人しい子を選ぶ。特に処女だと都合がいい。たいがい、そういう子は夜遅くまで勉強しているので、いつも睡眠不足だ。恭子はそっとその子に近づき、お菓子をあげる。ソフトグミとかだ。「智子、これ食べない?不二家の贅沢グミだよ」などと言ってお菓子を勧める。


 お菓子には、S(スピード、覚醒剤)が仕込んである。ポンプ(注射器)で仕込む。恭子にお菓子をもらった女の子は、眠気が覚めるのだ。彼女らは恭子にもっとちょうだい、あのお菓子食べると調子がいいの。買ったやつはダメみたい、恭子のがいいのと言ってくる。


第二章 順子
 一話 追跡デバイス
 二話 美久さん、謝罪す
 三話 高校三年、順子、現在
 四話 高校三年順子、智子と紗栄子
 五話 高校一年順子、順子と美久
 六話 高校三年順子、恭子
 七話 高校三年順子、盗撮
 八話 高校三年順子、紗栄子と順子
 九話 高校三年順子、潜入
 十話 高校三年順子、発見
 十一話 高校三年順子、決戦
 十二話 高校三年順子、証拠


登場人物


後藤順子 :美久の元手下、美久のレディースの後釜の総長、高校3年生
浩二   :小川康夫の手下
恭子   :身長145センチのチビの小悪魔のレズ、順子の手下、高校2年生
敏子   :身長170センチのノッポのマゾ、恭子のレズの相手、順子の手下、高校2年生
恵美子  :身長170センチの可愛い子ちゃん、順子の手下、高校2年生
智子   :合法JK、恭子がヤク中にして、売春をさせられる
小川康夫 :順子の彼氏、痩せ身のイケメンの半グレ。順子の売春組織のクスリの供給元


吉川公美子:小料理屋分銅屋の女将さん、元物理学科の大学院卒
田中美久 :北千住の不動産屋の娘、元レディースの総長、元ヤン。大学1年生、処女
兵藤武  :渋谷に実家のある大学1年生。義妹に迫られて一人暮らしを決意、童貞
兵藤楓  :武の父親の再婚相手の連れ子、母はCA、兵藤武の義妹、高校2年生、処女


節子   :美久の手下、高校2年生
紗栄子  :美久の手下、高校2年生、順子と共闘する
佳子   :美久の手下、高校2年生


南禅久美子:航空自衛隊二等空佐。防衛省防衛装備庁航空装備研究所所属
羽生健太 :航空自衛隊二等空佐。防衛省防衛装備庁航空装備研究所所属。紺野の元夫
紺野美千留:航空自衛隊三等空佐。自衛隊情報保全隊調査第2部


● シリーズ『北千住物語』第一章 出会い
  田中美久と兵藤武の出会い、
→ 2016年頃のお話


● シリーズ『北千住物語』第三章 巫女


● 関連シリーズ『雨の日の美術館』